2006-05-26 [長年日記]
■「月のワルツ」を観たいがために
あの幻想的なアニメーション。
「少女」と「兎」という組み合わせのために「アリス」がモチーフかと思ってしまうけど、「少女と兎」からしてもはや一つのアーキタイプになっているのではとか考えてしまう。
いずれにせよ私個人の動機としては、
Tsuki no Waltz - 諫山実生
のアニメーションが観られればそれでいいのだ。
カミさんや子供はむしろ「金のまきば」の方が印象が強いとは思うけど。
■個人情報保護 ≒ プライバシー保護, but 個人情報保護 ≠ プライバシー保護
「こちらは個人情報になりますのでお客様の方でお持ち帰り下さい」
とは、ある店でいわれた言葉。確かにその紙には私の個人情報――というのは名前と住所、および"その紙を受け取る立場にある"という事実――が書いてある。
その場は「あ、そうですか」などと言いつつカバンにしまい込んだわけだけど……。
あれ?
おかしくないか?
その紙に書かれた事実はそこのデータベースに格納されている内容だぞ? 私が紙を持ち帰ってちゃんと処分しても、そこのデータベースにはその事実は残っているわけだ。
後になって、その情報が漏出したという事実が確認できたとして、それはそこのデータベースからの漏出なのか私が処分しなかったからなのか、区別がつかないじゃん。
個人情報を取り扱う立場にいるものとして「こちらで処分させていただきます」という姿勢でいてくれないと、漏出したときの責任があやふやになる。というのはつまり、あれは「責任を持ちませんよ」という行動だったのではなかろうか?
話変わって。
プライバシーと個人情報は密接に重なり合うものではあるけれど、別ものだ。
個人情報保護法はプライバシー保護の"一手段"であって、イコールじゃない(個人情報が介在しないプライバシー侵害について思いいたらない人は http://www.hyuki.com/techinfo/uniqid.html あたりを読むべし)。
ありきたりな話で恐縮だが、プライバシーという考えは元々日本の社会では発展しなかった概念だ。だから日本語訳が未だにない。それは社会の違いであって優劣をつけられるものではないけれど、ネットワークの発達などで社会の在り方が変わってきているわけでもあるし"プライバシー保護"は確かに考慮するべき課題ではある。
その一手段である個人情報保護法のせいで、皮肉にも"プライバシー=個人情報"というミスディレクションが起きつつあるのではないか? というかすかな不安。
註
このエントリでは"個人情報"という言葉を"それ自体で当該個人を識別できるもの"という狭義で使っている。
本当はJISによる定義にも括弧書きされている通り、
(当該情報のみでは識別できないが、他の情報と容易に照合することができ、それによって当該個人を識別できるものを含む)
まで含んでいる――含んでいなければならない概念である。
だから「個人情報が介在しないプライバシー侵害」なんて書いているが、これは誤りを含んでいる。
ここでは、日常的なやりとりの中に勘違いが忍び込んでいて自分がすぐにそれに反応できなかった、ということを書きたかったので自覚的に狭義で使用した。
■ハッカーのたのしみ
である。
自分の勉強不足――というか如何に勉強していなかったかが判ろうというものだ。
パラパラと捲って読んでみただけでも、開いた口がふさがらない、てな状態が続いていたりして。
「分割統治」戦略によるビットの数え上げとか、はー、って感じ。