2006-04-15 [長年日記]
■笑いが止まらない
爆笑じゃなくて、くすくす笑いが止まらない〜。
子どもの勉強に付き合ってたら出てきた算数の問題集中の一問↓
2ちゃんねるベストヒット: さゆりさんの問題
「15年前の話です。さゆりさんは上野発の……
■rss.css置いた & umekomiblog
rdf表示用のCSSファイルを置いた。
右上タイトル横の「RSS」アイコンをクリックした時の表示が少しマシになった。
あとでmakerssプラグインをもう少しいじってみるつもり。
CSSファイルは、
から blog_rss.css をいただきました。多謝。
この umekomiblog ってのは php で書かれた、blog システムらしい。セットアップもすごく簡単な様だ。
画面構成もシンプルできれいだし、案外いい拾い物かも。
■2のべき乗の集合とフィボナッチ数の集合の共通点
「完全集合」という概念がある。
テクスト(後述)から引用しよう。
整数の集合が「完全」であるというのは,すべての正の整数を,その集合から有限個の数を1回だけ取って作った和で表せることです.
「正の整数」ってのは「自然数」に等しいな。このエントリでは「自然数」と書く。
例えば2のべき乗の集合。
\(\{2^{0},~2^{1},~2^{2},\cdots,~2^{n},\cdots\}\)
これは完全集合だ。ここから有限個選び、係数\(\sigma_{i}\)
が0または1として、「和で表せる」というのがどういことかというと、
\(\sum_{i=0}^{N}~\sigma_{i}~2^{i}\)
という形で全ての自然数を表現できる、ということ。
なんということはない。2進数表記に他ならない。
\(12~=~1~\times~2^{3}~+~1~\times~2^{2}~+~0~\times~2^{1}~+~0~\times~2^{0}\)
となるので、12を2進数で表記すると 1100 となる。
そしてフィボナッチ数の集合。フィボナッチ数については、
を読もう! ということで……。
気を取り直して、フィボナッチ数の集合(数列)は、{0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, ……} となるわけだが、最初の0と1は無用なので取っぱらう(あってもいいが意味はない)。
{1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, …}という数列。
ここから有限個を選び、和を取る。係数\(\sigma_{i}\)
にご登場いただこう。
\(\sum_{i=0}^{N}~\sigma_{i}~F_{i}\)
これが全ての自然数を表現する。
2のべき乗の集合とちょっと異なるのは、ある自然数が一意に表現されるとは限らないということ。
例えば3を表現するのに、3 = 1×3 + 0×2 + 0×1 で 100 でもいいし、3 = 1×2 + 1×1 で 11 でもいい。
4 を表現することを考える。これは一意に表現される。4 = 1×3 + 0×2 + 1×1 で、101 という表現しか持たない。
ここで手を動かして、初めの数十個の自然数をフィボナッチ数の和で表現することをしてみるといいのだけど、パス。
4 の様に「一意に表現される数」にはある条件が存在する。それは……フィボナッチ数-1、という条件。
と、ここまでは、
の第8章の劣化コピー。
この本のタイトルに出てくる黄金比というのは\(\frac{1~+~\sqrt{5}}{2}\)
という無理数のこと。
この数の一般的な性質から、幾何学的な性質へ、そこからフィボナッチ数に入り、一般化されたフィボナッチ数列を考え、ルカ数(初項として 2, 1 を与えたフィボナッチ数列)が登場し、最適な間隔と計算アルゴリズムに関しての話で一旦コンピュータサイエンスに近づいて*1、ペンローズ充填という幾何学的な性質に舞い戻り、自然界に観察される性質――花の花弁や貝の模様に表われる対象性、ヒマワリの種の部分に見られる螺旋性――について論じられる、という実にアクロバティックな展開を見せてくれる本だ。
「ミルカさんとフィボナッチ数列」を読み終えている人は、フィボナッチ数の一般項に\(\sqrt{5}\)
がでてきて「僕」が「けげんな顔をする」場面を覚えているだろうか? フィボナッチ数と黄金比と無関係ではない、というか密接な関係があることがこの本で判る。
とはいっても、フィボナッチ数の集合が「完全」であることの証明なんかはスッパリと省かれているので*2、数学を本格的に勉強している人には物足りないだろう。かといって軽い読み物程度というわけでもない。
紹介終わり。
ここからは「私の問題」になる。
去年の11月〜12月にかけて考えていたこと。
集合 A を2のべき乗の集合とする。つまり、
\(A~=~\{~2^{n}~|~n~\in~N\}\) である。(\(N\) は自然数の集合、ただし0を含む)
簡単に書くと、\(\normalsize\displaystyle~A~=~\{1,~2,~4,~8,~16,~\cdots\}\) ということ。
Aのべき集合を考える。
\(\normalsize\displaystyle~\{\phi,~\{1\},~\{2\},~\{1,2\},~\{4\},~\{1,4\},~\{2,4\},~\{1,2,4\},~\{8\},~\cdots\}\)
という集合になる。
空集合はとりあえず無視するとして、その他の元について「その要素の和」を考えてみる。
実は先の記述は意図的な並び方で書いた。
要素の和をとると、\(\normalsize\displaystyle(1,~2,~3,~4,~5,~6,~7,~8,~\cdots)\) となる様に並べている。
つまり、元の「要素の和を取る」ことは、「2進数で自然数を表現する」ことに他ならない、ということだ。
ここまででおかしなことが起きている。
Aは可算無限集合である。
Aのべき集合は連続無限集合である。(カントールによる証明は割愛)
にもかかわらず、Aのべき集合の元について「要素の和を取る」ことで「自然数」と対応がとれている様に見える。これではAのべき集合が可算無限集合であるということになってしまうのではないか? という疑問がでてきた。
prima materia - diary : 集合とか無限とか極限とか
という問題(ここで ? となった人は引用元のエントリに行って全文読んで欲しい)。
今書いた、このエントリの冒頭の引用をもう一度見てみよう。
整数の集合が「完全」であるというのは,すべての正の整数を,その集合から有限個の数を1回だけ取って作った和で表せることです.
この、有限個の数を1回だけ取って、という表現。「あぁ、こう表現すれば良かったんだ」と今になると思う。
「Aのべき集合の元のうち、有限集合の元だけを集めた集合」
prima materia diary - 集合とか無限とか極限とか
なんて書いていて自分でもややこしいなぁ、と思っていたのが、ちょっとスッキリ。
■√2i 進数
結城さん(id:hyuki)からコメントしていただいた件。
Knuth先生のThe Art of Computer ProgrammingのVolume 2に√2i を基数にする話題が出てました。日本語版p.193。ご参考。
prima materia diary - π進数
そうか。2進数に展開するのと同様なのか。
2乗すると-2が表われ、4乗すると4が、6乗すると-8が、8乗すると16が表われる。
ん? 1はどうやって作る? ……(考えている)……0乗すればいいんだ(ってこの間も見逃していたなぁ)。
実質、-2 を基数にするわけだ。
1 = (-2)^0
2 = (-2) + 4
3 = 1+(-2)+4
4 = 4
5 = 1+4
6 = (-2)+(-8)+16
7 = 1+(-2)+(-8)+16
8 = (-8)+16
うん。小数点より左は問題無さそう。同じ理屈で小数点より右側も展開されるんだろうな、きっと。
追記 4/16
-2 じゃなくてわざわざ √2i を基数にしているのだから、その意図を考えると複素平面上の数が展開可能なのだろうなぁ、と感じてはいるけど、考えてない。あしからず。
*1 コンピュータサイエンスと書いたのは正確ではない。「オイラーの贈物―人類の至宝eiπ=-1を学ぶ ちくま学芸文庫 isbn:4-480-08675-7」 に依ればアルゴリズムとは「有限回の計算の後に目的を達する,あいまいさのない一連の手続き」のことだからだ。アルゴリズム=コンピュータサイエンスというのは短絡的な思考認識だ。
*2 このエントリで証明をしない――できない――のもそのため。どんな形の証明になるんだろうか……? 5分ぐらい考えたら分かった。