過去の日記

2006-07-21 臆病者のための株入門 [長年日記]

ツッコミ [hatena]

初心者ですが、宜しくお願いします。
私は、ヤフーのメッセや、
http://q.hatena.ne.jp/1153466776

「メッセンジャー」を「メッセ」と略す"初心者"がいるかー!

臆病者のための株入門 [book]

臆病者のための株入門 (文春新書)

  • 作者: 橘 玲
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売: 2006-04-01
  • ASIN: 4166605143
  • メディア: 新書
  • amazon.co.jp詳細へ

デイトレードの指南書ではなくて、株というか経済市場というものの教科書っぽい。教科書っぽい、と書くと誤解がありそうだが、読んでいて面白かった。


p199

わずかに残った金融資産の運用で頭を悩ますより、せっせと住宅ローンを繰り上げ返済したほうがずっとマシだ(ローン金利が3%なら年利3%の預金と同じ運用効果がある)。

なるほど! そうか! と膝を打った。
ウチのカミさんはエライので、理論や計算じゃなくて直感でこの「解」に辿り着いていた様で、そうしようとずっと前から決めていた。


p101〜102

ところがある日、(略)半社長派の持ち株が46株に、社長とグータラ社員を含むその取り巻きの持ち株が54株になった。この瞬間、すべての状況は劇的に変わる。グータラ社員の5株は,突然、ものすごい価値を持つようになるのだ。
(略)
社長派と半社長派の抗争でシェアが拮抗したために、グータラ社員たちはいつのまにかキャスティングボートを握るようになった。彼らが反対すれば、どんな議題も通すことができない。逆に彼らが賛成すれば、どんな提案も成立する。ということは、全体の5%の株で、会社全体を実質的に支配することに成功したのである。
最近よく話題になる買収ファンドは、この仕組みをとても上手に利用している。

この章のタイトルが「買収ファンドの魔法」。


p69〜70 p83
株式トレードは心理ゲームであり、デイトレードは人類の生み出した最高のギャンブルである、という件りがでてくる。
以前デイトレードを少ししてみた機会があったが、本当にその通りだと思った。
板情報を見ていると、その向こう側に「安くなれ〜」と思っている人たちと「高くなれ〜」と思っている人たちが見えるのだ。板が現れては消えていく。ポーカーでレイズやコール、フォールドが飛び交う様子と同じ匂いがした。
で、今はデイトレードはやめた。
勝ち続けるのは至難の業だと思ったからだ。


いかなる戦略も戦術も"勝ち続ける"ことはできない、と説く。その通りだろうと私も思う。
どんな戦略、戦術本を見てもその名が出てくる(であろう)ものに「移動平均線戦略」がある(週刊少年サンデーにだってでてきた)。
当たり前の話なのだけど、相場が下落する局面では有効に働くが、相場が上昇する局面では儲けることはできない。もすこし正確に書けば、相場が上昇する局面なら「株を買ってただ待っているだけの人」の方がより多く儲けられる、ということ。


p75

チャートで儲ける方法が無料の株式セミナーで教えられていたり、近所の書店で売っている株の入門書に書いてあることはぜったいに*1ない。

幾何学的な手法も含めて数学に還元できる戦術では勝ち続けることはできない。
じゃぁ、なんでトータルで勝ち続けている人がいるのかといえば、私は、戦術が示すサインを自分の判断で無視できる人なんじゃないのかなぁ、とか思った。
追記:書き方がまわりくどくなってしまった。数学に還元できない戦術を自分なりに持っている人、だと言っているのと同じじゃん。


じゃ、最後に、
p77

株価が日々変動しているという事実は、だれも未来を予知できないという当たり前のことを逆説的に証明しているのである。


追記(2006/7/22)
デイトレードをやめたのは「なんとなく」でやっていては勝ち続けることはできない、とハッキリ判ったから。また、心理的な負荷が大きいこと、物理的に行動を制約されるということもある。
それにかける時間でもっと他のことができる、と思ったからだ。


p22

ところが金融業界のひとたちは、「投資家教育」とかいう名目で、「株はギャンブルじゃありません」キャンペーンを大々的に展開している。(略)
私はギャンブルには手を出さない。
株はギャンブルじゃない。
だから株にはまっている自分はぜんぜん悪くない。

とか。そして困ったことに、真面目なひとほどこの罠から抜け出せなくなってしまう。

この部分を読んで、

prima materia - diary : こどものためのドラッグ大全

で引用した、

こどものためのドラッグ大全 (よりみちパン!セ)

  • 作者: 深見 填
  • 出版社/メーカー: 理論社
  • 発売: 2005-04
  • ASIN: 4652078080
  • メディア: 単行本
  • amazon.co.jp詳細へ

p57
「怖いぞ、怖ろしいぞ」とあまりに煽りすぎて、じっさいにちょっと手を出したひとが「なんだ、警察や世間でいわれているほど恐ろしくない」と思って油断し、次第に深みにはまり、だんだんとやめることが難しくなっていき、知らぬままに妄想に支配されて犯罪をおかす、という盲点や罠を見事に作り出している。

の裏返しの様な感じがした。
知識無しに「大丈夫」と煽るのも「ダメ」と禁止するのも、裏付けのない安心感や忌避感を与えることになるだけの、危険でしかない行為なのだと思う。


追記(2006/7/24)

最後の「株はギャンブルか?」という問題。
これは人によるのかも。
かなり勉強すればギャンブルではないのかもしれないけど、
やっぱり依然としてギャンブル要素は残る気がする。

クローン人間現るッッッ!!の巻き

短い時間でキャピタルゲインを狙うトレーディングに関して言えば、株はギャンブルです(キッパリ)。
勉強して高い勝率で勝てるようになったとしても(仮定)、ギャンブルはギャンブルです。
株価が上下すること自体が、株価が上がる方に賭けた人間と下がる方に賭けた人間との、パワーゲームの結果だからです。

p68
だが私は、デイトレーディングで安定した利益をあげることは可能だと思っている。

とも書かれています。ただその数ページ後で、

p73
だれかが100万円を5年で100億円に増やしたということは、だれかが5年間で100億円(正確には99億9900万円)を失った、ということである。
(略)一人の成功者の陰には、たとえば、なけなしの100万円をすってしまった投資家が1万人いるのである。

このお話(まぁ、例ではありますが)はあるギャンブルを想起させます。
はい。宝くじです*2
宝くじが"悪質"なギャンブルであることは2つ上の引用と同じ、68ページで語られています。
詭弁めいた展開になってしまいましたが、「結果」から見てもやっぱりトレーディングはギャンブルだと思います。


追記(2006/7/25)

速攻結果を求めちゃいかんなー

BlueMirage: メモ

この1行コメントは何かなぁ?
「結果」って「金銭的なリターン」のことか、それとも「経済市場に対する理解」のことか。
前者なら「私は最初からそんなもの求めていない」ので的外れ。後者なら「この本を読んだら、デイトレードをちょっとやってみて感じたことに近い内容だった」っていうのがこのエントリの趣旨(の1つ)なので、まぁ外してはいない。でもこの1行じゃ判らないなぁ。

追記 2009/08/01
漫画Q.E.D.32巻

Q.E.D.証明終了(32) (講談社コミックス月刊マガジン)

  • 作者: 加藤 元浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売: 2009-01-16
  • ASIN: 4063711773
  • メディア: コミック
  • amazon.co.jp詳細へ


株の価格が上下するのは何故か、という話に対して、

つまり
全く同じ
経済状況の中
「売って特」と判断する人と
「買って特」と判断する人が
同時に存在しないと
いけないの

市場を決めるのは
経済状況でも
数式でもない……

人の思惑!!

だから
絶対に読めない!!

という台詞。
すばらしい。

*1 「ぜったいに」に傍点付き。

*2 宝くじが法律で認められた"公営ギャンブル"なことは説明するまでもないと思うのだけど、果たして……?