過去の日記

2006-03-14 [長年日記]

虚業 [etc]

サンデープロジェクトでは、実業か虚業かとかいう無意味なテーマが話し合われ、その中で僕の本も紹介されたらしい。
虚業。
嫌な言葉だなぁといつも思う。嫌な言葉のわりに、日本の製造業系、重厚長大系の企業幹部は、この言葉をとてもカジュアルに使う。自分たちがやっているのは「実業」だけど、君がやっているのは、たかが「虚業」だろう、というふうに人を見下すのである。

My Life Between Silicon Valley and Japan - 虚業という言葉について

「虚業」という言葉をマスメディアで見るたびに思うのだけど、日本社会での最大の「虚業」は当の「マスメディア業界」なんじゃないか? と言いたくなる。


サンデープロジェクトを見ていたわけではないので、当の番組企画を名指しで批判するものではない、と前置きした上で。
サンデープロジェクトがそういう論調で進んだのかどうかは知らないのだけど、「モノをつくらない産業」が「虚業」だと言うなら、宝くじだって、プロスポーツ選手だって、政治家だって、「虚業」や「虚業家」だよなぁ。
で、「実業か虚業かとかいう無意味なテーマが話し合」った様子を番組にするなんて、それこそまさに「虚業」だとも思うのだ。


起業バカ 2 やってみたら地獄だった! Idiot Entrepreneurs (ペーパーバックス)

  • 作者: 渡辺 仁
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売: 2005-11-22
  • ASIN: 4334933696
  • メディア: 単行本
  • amazon.co.jp詳細へ

に、ある起業家のこんな言葉が書いてあったと思う(本は手放してしまったので正しく引用できません。あしからず)。

日本には「情報」にお金を出すという感覚がない。知っていそうな人に電話をかけて「ちょっと教えてくれる?」と軽く訊けばいいと思っている。だから、まず「情報」が商品であることを認識してもらうのが一番大変だった。

というような感じ。それを思い出した。

やっとtDiaryのトラックバックの仕様が判ってきた

書き始める前にテストぐらいしておけよ。 > 自分

メールが来たりて [tools]

CDが開く。

cdbiff: メールの到着を CD-ROMドライブでお知らせ

いや、ノートブックでは(怖くて)到底使えないけどね。
もう5年も前にあったソフトなんだ。全然知らなかった。


via

MOONGIFTについて - MOONGIFT|オープンソース・ソフトウェア紹介を軸としたITエンジニア、Webデザイナー向けブログ


AL-Mail や Becky! 用。

broken link

暗号 [tech]

現在最新の暗号通信でも、傍受して50年くらい保管しておけば余裕で読解できちゃうのかなって思う。

スラッシュドット ジャパン | エニグマ暗号文、64年ぶりに解読

解読不可能な完全系(unbreakable system)を成すためには、原文の長さ以上の鍵文を準備する必要がある。
適切な暗号系なら、鍵文よりも短い通信に関しては暗号文が解読の手がかりにならない。ここからは理解が怪しくなるが、要するに「ブルートフォース以外に手段がない」ということなんだろうと思う(違うかもしれない)。
鍵としての乱数列を用意して、かつ使用済の乱数列は再利用しない、という条件下では暗号系を完全系にすることができる。が、これは事実上――技術的にも経済的にも――無理な話。ちなみに「使用済の乱数列を再利用しない」というのは言い換えると「無限に長い乱数列を用意する」というのに等しい。これが難しいのは、コンピュータで生成できるのは擬似乱数であることも関係する。


通信の文長が鍵の長さを超えると、暗号系は脆弱になっていく。SSL/TLS通信でも、定期的に共通鍵を取り替えていく、という方法を採っている(はずだ)。一応書いておくと、公開鍵暗号方式を使っているのは通信相手の確認と共通鍵の交換で、それ以降の通信は共通鍵暗号方式だ。
基本的に暗号っていうのは「秘匿可能な期間を十分確保する」技術だと思っている。
だから「今使っている暗号はいずれ脆弱になる」というポリシーで行動することになるわけだ。

すべてはここから始まった〜SHA-1の脆弱化 − @IT


改訂新版 暗号の数理―作り方と解読の原理 (ブルーバックス)

  • 作者: 一松 信
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売: 2005-09-10
  • ASIN: 406257490X
  • メディア: 新書
  • amazon.co.jp詳細へ

あたりを読んでみると、

原理的には、エニグマ暗号が正しく使われれば、解読は不可能ではないにしても、かなり困難である。

とある。続けて、

解読の手がかりの多くは、使用者の不注意に基づく。

と来るのだけど。
この本、暗号を解読したという事実の方が、逆に「秘匿しなければならない」情報になってしまうという様な話も読める。
暗号解読の成果という機密を保つために一つの市を見殺しにした、という様な話もあったらしい。


話は変わるが、2ちゃんねる語の様な隠語も立派な(?)「暗号」だ。「電車男」が出版された時、一読しただけでは意味が判らない部分が多々あって、読み終わってからカバーを外してみて脱力した経験がある。


「暗号を解読した」とあった時に「暗号文を平文に戻せた」という意味なのか、「暗号系が破られた」という意味なのか、あるいは「暗号鍵が判明した」という意味なのか、注意して読む必要はあるなぁと思った。


他の参考資料。

コンピュータのための 暗号組立法入門

  • 作者: 松井 甲子雄
  • 出版社/メーカー: 森北出版
  • 発売: 1986-02
  • ASIN: 4627833105
  • メディア: 単行本
  • amazon.co.jp詳細へ


「絶対安心な暗号」なんてない(理想上にしか存在しない)という話。