過去の日記

2006-03-11 [長年日記]

勧誘の電話 [etc]

学習教材売ってる悪徳業者だけどなんか質問ある?

もう5年以上前になるけど会社にこの手の勧誘の電話がかかってきた。
こんな感じ。


電話「仕事上、コンピュータでWordやExcelなどお使いじゃないですか? 必須スキルになっていますよねぇ」
私「まぁ、そうですね」
電話「そのあたりの学習コースなどについてご案内さしあげているんですけど」
私「私、コンピュータのシステムエンジニアなのでそういうのは要りません」
おしまい。


電話に出たときの社名で判るだろボケ! と思った。

フランケンシュタイン あるいは、現代のプロメテウス [novel][comic][movie]

フランケンシュタイン (創元推理文庫 (532‐1))

  • 作者: メアリ・シェリー
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売: 1984-02-24
  • ASIN: 4488532012
  • メディア: 文庫
  • amazon.co.jp詳細へ

読了。
面白かった。
でもこれ、現代日本に生きている私が読むと、"ホラー"とは言い難い。キリスト教のパラダイムの中でこそ"ホラー"・"恐怖譚"なのだろう。
巻末の解説(これが非常に詳細で読み応えがある)を読む限り、文学的にはゴシック小説、もしくはロマン主義の小説と見られているようだ。
とはいってもこの小説が書かれた経緯――「ディオダディの館の幽霊会議」は広く(?)知られている。すくなくとも、メアリ・シェリーにあってはやはりこれは恐怖譚だったのだろうと思う。
ディオダディの館の幽霊会議に関しては、

prima materia - SF horror movies ... ゴシック……のつもりだったのだけど

このあたりを。あ、映画の名前「ゴシック」だっけ。


さておき。
原作を読んでみるとケネス・ブラナーの映画「フランケンシュタイン」――というよりはロバート・デ・ニーロの"怪物"と書いた方が通りがいいかな?――はわりと原作に近かったのか? と思った。
ただ、映画を観たのも11年前(!)、しかもマスク [DVD]の併映だったからたまたまついでに見たのだからちょっとあやしい。


構成は凝っている。
海洋冒険家のロバートの手紙から始まる。北海を冒険中の彼が、その行く先をほぼ氷に閉ざされつつある、という状況下で一人の男を氷から拾い上げる。それが、ヴィクター・フランケンシュタイン。この物語の主人公(の一人)。
フランケンシュタインを介抱しつつも「なぜこんなところにいるのか?」という疑問を持つロバート。やがてフランケンシュタインから驚くべき話しを聞くことになる。
そして、フランケンシュタインの一人称による物語が始まる。
彼の生い立ちが語られ、パラケルススやアグリッパ、マグヌスへの一時の傾倒。そして大学への出発。自然科学、あるいは化学の英知との接触。
彼のみが辿りついた論理と、おぞましき実験。そして――生まれ出でたる"怪物"。
だが"怪物"は、自分の創造主とのほんの一瞬の邂逅ののち、姿をくらます。
フランケンシュタインは、自分の成したことに恐れをいだき、精神と肉体の平衡を失う。親友の看護もあり、復調した彼は故郷へと帰ることになる。けれどそれは安らぎの帰省ではない。弟ウィリアムの死の報せ。それが理由だった。
そして、その帰路で"怪物"を目撃する。
ウィリアムの死は事故ではなかった。容疑者がおり、裁判があり、刑が執行される。けれどヴィクターだけは知っていた――そうだと確信していた――ウィリアムの死は"怪物"の手によるものだと。それでは、ウィリアムの死の本当の犯人は? と自分に問わざるをえない。真の犯人は自分なのではないか!?
そして、"怪物"と再び邂逅する。


ここで小説は"怪物"の一人称に変わる。"怪物"が創造主ヴィクター・フランケンシュタインに語るのだ。
で、ここがこの小説の肝心な部分。
彼(と称するには理由がある。後述)の体験、心理。彼が何を得、何を失ったか? が肝だと思うのだ。


で、"怪物"は「自分のために女を創造してもらいたい」と――それはもちろん"アダム"に対する"イヴ"というアナロジー――フランケンシュタインに迫る。
そして小説はフランケンシュタインの一人称に戻る。
この後はストーリーはあまり書かない様にする。
色々なものを失った彼は"怪物"を追うことを決意する。旅を重ね、"怪物"の足取りを追い、あるいは"怪物"に導かれ、極寒の地へ進む。


そうして物語は、ロバートの手紙へと再び舞い戻る。
このロバートだけが、フランケンシュタインと"怪物"とを結びつけるただ一人の人物である点もまたこのストーリーの肝だろう。
"怪物"とフランケンシュタインの両方と邂逅する、唯一の人間なのだ。
解説にある通りのことを繰り返すようではあるが……。
ロバート,フランケンシュタイン,"怪物"の三者の共通項。ロバートとフランケンシュタインとの共通項。フランケンシュタインと"怪物"との共通項。
語り手を3人配置し、それらがきれいに「畳み込まれる」形を成しているところが、退屈さを感じさせないポイントだと思った。
果たして解説にその通りのことが書いてあったわけだけど。


後は余談。


まずは映画の話。
正直に告白すると、ピーター・カッシング & クリストファー・リーの映画はもちろん、実はボリス・カーロフの映画も観ていなかったりするのだな……。ボリス・カーロフが"怪物"を演じたものと、その続編、エルザ・ランチェスター*1が出てくるものは観てみたい。


解説が読み応えがあると書いたけれども、「フランケンシュタイン・コンプレックス」について、アシモフの

ロボットの時代 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集 (ハヤカワ文庫 SF)

  • 作者: アイザック・アシモフ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売: 2004-08-06
  • ASIN: 4150114862
  • メディア: 文庫
  • amazon.co.jp詳細へ

の序文から始め、カレル・チャペックの「R.U.R」、ウェルズの「モロー博士の島 (偕成社文庫)(H.G. ウェルズ/佐竹 美保/H.G. Wells/雨沢 泰)」、ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」、その映画「ブレード・ランナー」まで展開を見せてくれるのが面白かった。
「フランケンシュタイン」を読んで初めて、アシモフが「ロボットの時代」の序文になぜメアリ・シェリーの話を出してきたのか? と思いめぐらせることができる。そういったこともまた、"読む愉しみ"というやつだろう。


以下、印象に残った部分を適当に引用。


p123 フランケンシュタインの独白。

愉しみは全て死者への冒涜でした

ハチミツとクローバーのリカさんを思い出した。


p124 フランケンシュタインの許嫁、エリザベスの台詞

ああ、ヴィクター、偽りがこうももっともらしく見えてしまうのだったら、自分の幸福のたしかさを信じられる人などいるかしら?

んー。このフレーズ、既視感があるなぁ。なんだっけ……。


p156

森のナイチンゲール

このナイチンゲールは――意訳でもいいから――訳した方がよいのでは。鳥の名前だと判るかな?


p167
"怪物"が「失楽園*2」を読んでいるのが興味深い。


p280 フランケンシュタインの台詞

そんじょそこらの企画屋と自分を一緒にすることはできなかった。

この「企画屋」の意味がちょっと取れなかった。原文の単語が知りたかった。


さらに余談を続ける。


1994年の映画。ケネス・ブラナー監督・主演……じゃないのね。出演者の筆頭が"怪物"のロバート・デ・ニーロなんだ。まぁ、フランケンシュタインも"怪物"も、どちらも主人公だとは思うけどね。

フランケンシュタイン Hi-Bit Edition [DVD]

  • 監督: ケネス・ブラナー
  • 出演: ロバート・デ・ニーロ,ケネス・ブラナー,ヘレナ・ボナム・カーター,トム・ハルス,アイダン・クイン
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • ASIN: B0000UN2XM
  • 発売: 2003-12-17
  • amazon.co.jp詳細へ


なんでこの小説を読もうと思ったかというと、

スパイラル―推理の絆 (15) (ガンガンコミックス)

  • 作者: 城平 京
  • 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
  • 発売: 2006-01-21
  • ASIN: 4757516053
  • メディア: コミック
  • amazon.co.jp詳細へ

の後書きがきっかけだった。

ダス・リート・フォン・デア・エルデ [novel]

という言葉が頭に残って離れなかった。
クラシックか何か、音楽の題名だと思うけど、なんでドイツ語での記憶がこんなにしっかりとあるのだろう。
なんて思っていたら、思い出した!

歌の降る惑星(ほし)―センチメンタル・センシティヴ・シリーズ (角川文庫―スニーカー文庫)

  • 作者: 菅 浩江
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売: 1990-07
  • ASIN: 4044120013
  • メディア: 文庫
  • amazon.co.jp詳細へ

の最終章の副題だった。

PalmMagazine永久保存版 [book]

Palm Magazine Vol.25 永久保存版 (アスキームック)

  • 出版社/メーカー: アスキー
  • 発売: 2006-03-28
  • ASIN: 4756147461
  • メディア: 大型本
  • amazon.co.jp詳細へ

はう。予約できん。
追記:あ、出版年を1年勘違いしていただけだった。これから出る本じゃないのか。
追記の2:Amazonの書誌データがおかしいのかもしれない、とも思ったが確認できん……。
追記の3:Amazonに書誌データ修正情報を送信。

カレル・チャペック [etc]

カレル・チャペックその人とはぜーんぜん関係ない話。
紅茶や紅茶用の小物、その他雑貨を扱っていて、その名前を「カレル・チャペック」という店があった。
……"ロボット"という言葉を初めて世に出した、「R.U.R」の作者の名前が、なぜこの"かわいらしい系小物類を扱う雑貨ショップ"に使われているのだろう? と不思議でいっそ店員に聞いてみようかとまで思っていたら、いつのまにか店の名前が変わっていたという意外な結末。
実際、どういう理由だったのだろう?

トポロジーなゲーム? [game][tech]

http://www.planarity.net/

面白い……かも? lv4になると頭がこんがらがってくる。
lv5はクリアできんかった。


via

AVL木 part3 - プログラミングの作業に何の価値も見出せなくなってしまったd金魚による日記


追記
ハマる。
lv5 5:28
lv6 6:49
lv7 6:42
lv8 11:04
lv9 5:55
lv10 9:11
とりあえずの記録。


# kmt-t 『今、レベルをスキップしてレベル35を見てみましたが、すさまじいですね。本当にクリアできるのか。』

僻地のプログラマkmt-tの日記 - 明日また病院行く

planarity - fkm 〜 Super Software Entertainerへの道 〜

lv35... ウチのマシンではマウスでつまんで移動するのがもっさりしていてやる気がおきない……。

*1 MASTERキートンに出てくるねぇ。

*2 もちろんミルトンの、だ!