2007-10-20 [長年日記]
■残酷な方程式 読了
古いSFが復刻(増刷)されていてよいですねぇ。
「古き良きSF」
まさにそんな感じ。どこかで読んだような話もままあるが、それは自分が接した順番が逆なだけのこと。
このテーマをこの短さに(短編集なのだ)凝縮するか! などとも感じたが、それもまたかつてはこの短さに凝縮して構わなかったってことなのだな。その辺りが新鮮。
つまり今このテーマで書くならもっとひねらなきゃ、ということ。
それとは別に。
「石化世界」という短編が特に気に入った。
大抵の人が必ず考えるだろう「世界には自分(と認識しているところの何か)だけが存在していて他者はすべて非存在なのではなかろうか?」という感覚。
そのテーマの親戚ともいえる、あるテーマを(一応ネタバレしないようにそのものではなくて近いものを書いてみました)完全にストレートに書いている。
ここで言うストレートというのは「オチがない」。
オチがないことを赦せるくらい、その描写力や言葉の力に酔った。
王道ではないのだろうけど、それもまたいいよねぇ。