2006-10-18 [長年日記]
■「ダイオキシン」のせいで殺されたヒト
今日、血の気が引く思いをしてしまった。
それをズバッと書ければいいのだろうけど、順を追って書く必要があるのではないかと感じたので長々と書くことにする。
人類史上、ダイオキシン類化合物による中毒症状で死んだ人数はどのぐらい?
諸説あるのだろうけど、「急性中毒症状で死んだとされる人は一人もいない」あるいは「急性中毒症状で死んだという疑いがある人は四人いる」というのが考えられる答え。
あるいは別の答え――というか指摘。
イタリアのセベソで起きた1976年に起きた農薬工場の爆発事故。わずか十日間の間に推定最大130kgというとんでもない量のダイオキシン類化合物が漏出し、3万人が被曝*1した。しかし死者はでていない。
1968年のカネミ油症事件でも急性中毒による死者はでていない。
ベトナム戦争で使われた"非人道的兵器"枯葉剤。これは強力な除草剤。つまり戦術としては「兵糧攻め」にあたる(軍事拠点を裸の状態にする、ということもあろうが)わけだ。人を"飢え"という状態に追い込むために、十年という長い時間に渡って撒かれた。それこそが"非人道的"と称される所以だと思う。。
その主成分はあくまで"除草剤"としてのものだ。忘れられがちな様な気もするのだけど、ダイオキシン類化合物はその生成の過程で生じる"不純物"なのだ。
さて、先ほどセベソの事故で「130kgというとんでもない量のダイオキシン類化合物」と書いたのだけどこれがどのぐらいとんでもない量かというと、「ベトナム戦争で十年間に渡って散布された枯葉剤に含まれるダイオキシン類化合物」と同じぐらいという推定が後述の本に書かれている(ただしこれはずいぶんと大ざっぱな計算だなぁと感じた)。
人口三万人程度の町を想像して欲しい。そこに「ベトナム戦争で十年間に渡って散布された枯葉剤に含まれるダイオキシン類化合物」が巻き散らかされたのだ。
さて、ようやく本題に入る。
p127
死をまぬがれた住民が、次に恐れたのが、奇形を伴った子の出産でした。
p128
全体で、どれほどの幼い命が中絶によって失われたか定かではありませんが、川名英之氏は『検証・ダイオキシン汚染(緑風出版)』に、「事故発生前の七十六年二月〜四月に八三八あった出産数が一年後の同期には二三五に減少した」と記述しています。中絶手術による幼い犠牲者の数がいかに多いものであったかをこの数字は物語っていると言えます。
中絶によって命を奪われた幼い亡骸には、奇形の増加やその他異常な兆候を見つけることはできなかったと報告されています。また、事故の後に生まれた新生児にも異常を認めることはできず、健康であるという公的な発表もありました。
知ってはいた。
この事実を知ってはいたのだ。
でも。
「幼い犠牲者」。「命を奪われた」。
その表現に目が釘付けになった。
心拍があがった。
それはダイオキシンのせいで、いや、「ダイオキシンに対する無知*2」のせいで「殺された」と呼んでも差し支えないのではないか? と思った。
セクションタイトルのダイオキシンが括弧でくくってあるのはそういう意味。
他の資料。
2006/10/30 追加
催奇形性はベトナムで問題となったが、動物実験では大量のダイオキシンで惹起され、これは人類の摂取している量2pg/Kgの50万倍に相当することをマスコミは取り上げない。又、蓄積性があるが人類がこのマウスの催奇形性を立証するためには4万1千年以上も生き続けなければならない。
広島県医師会 健康情報 禁煙コーナー「ダイオキシンの毒性を正しく理解しよう」
蛇足
はてなブックマークのコメント経由で、
ダイオキシンがなんだかご存じですか?
ダイオキシンはどの程度の毒なんでしょうか.
http://q.hatena.ne.jp/1092027879
という2年前の(!)質問を知った。面白かった(fun じゃなくて interesting の方ね)。
■女子大生会計士の事件簿 4
読もうと思えばあっという間に読めるはずなのに延ばし延ばしにしていた一冊。
実際、地下鉄の行き帰りと喫茶店での休憩だけで読んじゃったなぁ。
p99
「子会社なのに株式上場?」と不思議に思う方もいるかもしれないが、たとえば株式の八十%を親会社が持っていても、残り二十%を株式市場に放出して上場するという場合もあるのだ。
ほー。
■タイの津波 フリー動画
順番に書くと、
を読んで、なんで48DVD? パブリックドメインなのに? と思って、
を探してみるとやっぱりないのかー、あれ? Tsunami Videos ってなんだ? Thailand disaster って書いてあるから何年前だったかの地震だなと思って進んでいくと、
という動画集があってこれらを見ると津波の怖さがよく分かるのだけど、それはともかく、津波って英語では実は tsunami の方が一般的なのか、tidal wave だと思っていたのに、というところでそれって Final Fantasy の影響か! とハタと気がついてみたり。