過去の日記

2007-04-03 [長年日記]

ひさしぶりにアイデア追加 [hatena]

医療・健康カテゴリでの質問時に「医師法第17条に抵触するような回答(具体的には「状況からの病名の特定」「薬の処方のアドバイス」)を求めてはいけない」という旨の警告を追加する
http://i.hatena.ne.jp/idea/14720

いつから「占い」の意味が変わったのだろう? [hatena]

どう考えても「占い」じゃなくて「性格判断」なんだけど……。
血液型性格判断もいつのまにか血液型占いになってるし、そのあたりの変遷の時期と、動物占いの流行と、どっちが先だったんだろう?

日本では動物占いや家電占いなどの、「面白さ」を優先した占いがありますが、海外ではこういった占いはあるのでしょうか?
http://q.hatena.ne.jp/1175496846

怪しいと感じないときが肝心 [etc]

というか、そもそも、「フィッシングかな?怪しい!と感じたら、そのアドレスを注意深く確認してみましょう」じゃねーよ。怪しけりゃ確認するまでもないし、怪しいと感じないときに確認することが肝心だってのに、何言ってんの? お祭り見物気分で解説書くな。

高木浩光@自宅の日記 - 銀行のフィッシング解説がなかなか正しくならない

を読んで、まさにその通りだぁ、と思ったわけだけど、しばらく時間が経ってあれ待てよ? なんか既視感が……? となった。
そうそう。前に都道府県庁のサイトのリンクポリシーを類型化した時にも同じことを感じたのだった。

法令や公序良俗に反する場合などにはリンクの削除をお願いすることがあります

という文言だ。
これに関しては、あとから別のエントリでまとめを書いていて、

ここでまず1つ指摘したいのは「ホームページの内容が,法令や公序良俗に反する場合」という表現自体に、そのサイトが法令・公序良俗に反していることが一目見てわかるという暗黙の前提を持っているのではないかということだ。
甘い。
幼稚な1クリック詐欺のサイトならともかく、詐欺サイト(クレジットカード番号を盗もうとする目的で作られたサイトなど)が一見してそうと判る様に作るはずがない。

prima materia diary - 法令や公序良俗に反する場合などにはリンクの削除をお願いすることがあります

としたのだった。


なんでこんな文言が入っているんですか? どんなリスクを想定しているんですか? という問いに対して返ってくる答えはというと、

これは、法令や公序良俗に反するサイトにリンクが貼られたことにより、当該サイトと本サイトに関係があるような誤解を生じたり、信用・イメージの低下がご覧になった利用者に生じたりする可能性がある点から、注意喚起の意味で当該規定をサイトに明示しているものです。

なのだ*1

「一見して公序良俗に反すると判るサイト」に都道府県庁のサイトへのリンクがあったってどうということはない。それで関係があるような誤解をする人がいるのか? と思う(本当にいたらそれはそれで問題だろうけど)。
本当に怖い/リスクがあるのは「(実際は悪質なサイトであるにも関わらず)一見して法令に反していると判らないサイト」だろうに。


今回の高木さんのエントリからのリンクに、

その運営者のことをまだよく知らない場合は、まずその運営者を信用してよいかを判断しなくてはなりません。残念ながら、信用できるかどうかを技術的に確認する方法はありません。通信販売サイトであれば「特定商取引に基づく表示」を探して読むか、「オンラインマーク制度」による認証を受けているかを確認するなどして、自分で判断するほかありません。

産総研 RCIS: 安全なWebサイト利用の鉄則

とある通り、サイト運営者のことがよく判らない段階で何を以て信頼性を判断しますか? という問いに対しては簡単で有効な答えはない。


だからこそ都道府県庁のサイトには、

法令や公序良俗に反する場合などにはリンクの削除をお願いすることがあります

なんて回りくどい上に効果が無いような言葉ではなくて、

他サイトから本サイトへのリンクがあったとしても、当該サイトと本サイトとの間に何の関係・関連があるとお考えにならないでください

とストレートに書いて欲しいのに。

オンラインアルゴリズム ほか [tech]

今読んでいる

アルゴリズム・サイエンス:出口からの超入門 (アルゴリズム・サイエンスシリーズ 2―超入門編)

  • 作者: 岩間 一雄
  • 出版社/メーカー: 共立出版
  • 発売: 2006-10-10
  • ASIN: 4320121686
  • メディア: 単行本
  • amazon.co.jp詳細へ

の第6章がオンラインアルゴリズムとなっている。


まず出てくるのがスキーレンタル問題。

p64
オンラインアルゴリズムの説明でよく使われるのが,スキーレンタル問題(Ski-Rental Problem)である.

とあるわりにGoogleから日本語で検索してみてもあまりよいページが出てこない。
むう。リンクで済ませようと思ったのに。


  • スキーをレンタルするか(思いきって)買ってしまうかを決める問題
  • レンタルは1回1万円、一式買うと10万円
  • 将来に、何回スキーにいくか判らない

という問題。

もちろん肝心なのは3番目の制約で、スキーに何回行くか決定済みなら問題にならないわけだ。

これに対して、

  • 必ずレンタル
  • 思い切って買う
  • 9回目まではレンタル、10回目で買う

という3つの回答を検討している。


ここで登場するのが「最適なオフラインアルゴリズム」。神様だ。
未来を決定済みのものとして扱うことができる存在がいれば、

  • 1〜9回ならレンタル
  • 10回以上なら買う

が最適であると判る。


そこで先に挙げた3つの戦略(戦術??)と神様を比較する。

  • 必ずレンタル
    • 1〜10回目までは神様と同じ
    • 11回目以降は神様に対して\(\frac{n}{10}\) のコストがかかる
    • n→∞で対神様比も無限大に発散
  • 思い切って買う
    • 1〜9回目までは対神様比\(\frac{10}{n}\)
    • 10回目以降は神様と同じ
    • 対神様比の最大は「1回しか行かない」時で10
  • 9回目まではレンタル、10回目で買う
    • 1〜9回目までは神様と同じ
    • 10回目で対神様比1.9 (レンタル1万円/回×9回+購入10万円で計19万円)
    • 11回目以降対神様比は\(\frac{19}{n}\) となり n が大きくなるにつれて小さくなる


それぞれの戦略の、最大の対神様比を考える。
すると3番目の「9回目まではレンタル、10回目で買う」の1.9がいちばん小さい。


さて。
オンラインアルゴリズムの範疇なのかどうか知らないのだけど、最近読んだ本(asin:4152087900 のはずだ)にこんな問題があった。

  • 4回お見合いをする(4回目のお見合いで必ず ok する)
  • 一度 ok したらそこでおしまい
  • 一度断った人とはもう会えない(つまり、上と併せて「決定を覆せない」ということ)
  • 相手に対して明確な順位づけができる

さてどのような戦略がありえるだろうか? というもの。

まだお見合いをしていない相手も含めて順位づけができるという「神様の視点」を持てるなら、必ず1番よい相手とのお見合いで ok できる。
過去の相手に対して順位づけはできるが、未来の相手が不明という状況でどのような戦略があるだろうか?
言わずもがなではあるけれど、例えば1回目で必ず ok する、と初めに決めてしまうと、1番〜4番の相手に対して等しく\(~\frac{1}{4}~\) の確率となるわけだ。


紹介されていた戦略はというと、

  • ある回数お見合いをして断る
  • そのあと、過去にあったどの相手よりも順位が高い相手なら ok する

たったこれだけ。
例えば、「ある回数」を 2 にしてみよう。
お見合いの順番が 3241 になると仮定してみる('1'が1番よい相手)。
最初の2回は断る。3回目のお見合いでは上記の2番目の条件を満たさないので断る。4回目で1番よい相手に出会う。

1〜4の順列組み合わせと、ある回数を 2 にした時の結果は以下の通り。
1234→4 1243→3 1324→4
1342→2 1423→3 1432→2
2134→4 2143→3 2314→1
2341→1 2413→1 2431→1
3124→4 3142→2 3214→1
3241→1 3412→1 3421→1
4123→3 4132→2 4213→1
4231→1 4312→1 4321→1


24通りある順列組み合わせのうち、
1 12通り
2 4通り
3 4通り
4 4通り
となる。
半分の確率で、1番よい相手で ok できる。
気になった人は「ある回数」を 1 にした時のことを考えると面白いだろう*2


話を戻す。
面白いな、と思ったのは、オンラインアルゴリズム自体は古くからあった問題らしいのだが、"神様の視点に立ったアルゴリズム=最適オフラインアルゴリズムとの比による評価"という評価手法の導入が1985年と比較的新しいこと(p78より)。
それに、アルゴリズムの評価が、計算量や空間量を基準にする"普通の"アルゴリズムと大きく違うことも新鮮だった。


(追記)
読了後のエントリはこちら。

20070407.html#p01


あと、

オンラインアルゴリズムとストリームアルゴリズム (アルゴリズム・サイエンスシリーズ―数理技法編)

  • 作者: 徳山 豪
  • 出版社/メーカー: 共立出版
  • 発売: 2007-08-10
  • ASIN: 4320121716
  • メディア: 単行本
  • amazon.co.jp詳細へ

が出てますよっ。

*1 これは上で挙げたエントリからコピー。どこかから返ってきた回答をそのまま写したのではなくて、数カ所からの回答をあまり頭を使わずにてきとーに繋ぎあわせたもの。

*2 すごく気になった人は一般化を試みてみよう。本に依ればネイピア数eがひょっこりと顔を出すらしい。そして私に教えてください。