過去の日記

2007-04-12 [長年日記]

金融というギャンブル [hatena][etc][book]

家を買うのにそんなことを知らないでいいのだろうか?
いや確かに、ちゃんと判っているか? 他人に説明できるのか? とあらためて問われれば私もちょっと心許ないけど。

今、家のローンを払ってます。。。
3年前に家を購入し、ローンが始まったわけですが…
銀行から「固定金利期間終了のお知らせ」が届きました。
詳しい人、教えてください。
この先も固定金利を選択する場合、早めに手続きを!
との事ですが、変動金利・固定金利…何が違うの?
デメリット、メリット教えてください。
http://q.hatena.ne.jp/1176340218


「ローンもない。投資信託だとか株なんてあやしげなギャンブルみたいなものには手を出さない」
って人もいるかと思うけど、実はそれも、
「お金の価値が下がらない」
という目に自分のお金を全額かけるというギャンブルと同じだ、と書いてあったのは、

金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか (光文社新書)

  • 作者: 吉本 佳生
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売: 2005-05-17
  • ASIN: 4334033067
  • メディア: 新書
  • amazon.co.jp詳細へ

だったか、

金融工学の悪魔―騙されないためのデリバティブとポートフォリオの理論・入門

  • 作者: 吉本 佳生
  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売: 1999-09-01
  • ASIN: 4535551871
  • メディア: 単行本
  • amazon.co.jp詳細へ

だったか。それとも別の本だっけ?

臆病者のための株入門 (文春新書)

  • 作者: 橘 玲
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売: 2006-04-01
  • ASIN: 4166605143
  • メディア: 新書
  • amazon.co.jp詳細へ

かな?

フライの楕円曲線 [hatena]

フェルマーの定理の証明に関して、ゲルハルト・フライが提示した式(以下略)
http://q.hatena.ne.jp/1176290271

手元にあるフェルマーの最終定理の本では、フライの楕円曲線は\(y^2=x(x-a^n)(x+b^n)\) となっている(もちろん、展開すれば質問の式と同等になる)。
楕円曲線なので、曲線上の点全体が加法群になっている。
楕円曲線にも判別式があり、3つの根をα、β、γとするとき判別式は、
\(D=\{(\beta-\alpha)(\gamma-\alpha)(\gamma-\beta)\}^2\)
となる。
フライの楕円曲線の式の左辺=0の3根は、\(0,a^n,-b^n\) なので、判別式が\((abc)^{2n}\) となり、判別式が自然数の2n乗になる。

合同式\(x(x-a^n)(x+b^n)\equiv~0~(mod~~p)\) の根を考えたとき、aとbが互いに素なので、三重根を持つことは無い。
「フェルマーの方程式に解があるとすれば、その解を使って作られた楕円曲線は三重根を持たず、判別式が自然数の2n乗となる」
裏を返せば、フェルマーの最終定理は「n≧3の時、三重根を持たず、判別式が自然数の2n乗となる様な有理楕円曲線は存在しない」と言い換えられる。

と続き、谷山=志村=ヴェイユ予想へと繋がる。


追記
……らしいがよく判らない。
「楕円曲線はモジュラーである」という概念を理解する必要がありそうだが、ここが一番難しそうである。
かつ、楕円曲線の判別式が意味を持ってくるのは、どうやらここみたいなのだ。
だから、楕円曲線の判別式が\(D=\{(\beta-\alpha)(\gamma-\alpha)(\gamma-\beta)\}^2\) だということが Web
を検索してもなかなかでてこないのだろう。


さらに追記
やっと見つけた。

http://www.math.vt.edu/people/brown/doc/ellip.pdf

の13ページにでてくる Δ(f)。これが多項式 f ("if f is a polynomial" とある)の判別式の定義である。

"楕円関数の判別式"で検索してもでてこないはずである。
検索すべきは"多項式の判別式"なのであった。
そうと分かれば検索してみれば……、

重根 - Wikipedia

とまぁ、簡単に引っかかってくる。

フライの多項式の判別式は、
\(\{(a^n-0)(-b^n-0)(-b^n-a^n)\}^2~=\{(a^n)(b^n)(a^n+b^n)\}^2~=(a^n~b^n~c^n)^2=(abc)^2n\)
となるのは上で書いたとおり。


その下あたりに、

In particular, such a curve cannot possibly be what is called modular (never mind what that means).

と書いてある。
「その様な場合はモジュラーと呼ばれる曲線にはなれない」とあり、そしてカッコ書きで「モジュラーが何かは気にしなくていい」と続く。

実際「気にしなくていい」とある通り、谷山=志村=ヴェイユ予想(「有理数体上の楕円関数はすべてモジュラー楕円関数である」)から、1.で回答した通り、

「フェルマー予想が誤っているならば、フライの楕円曲線はモジュラーではない」
しかし、「全ての楕円曲線はモジュラーである」ので矛盾
ゆえに「フェルマー予想は正しい」
http://q.hatena.ne.jp/1176290271#a704936

となる。


結局、「モジュラーである」ということの意味と、多項式の判別式とモジュラーであるということにどんな関係があるのか? というその部分が一番難しいわけだ(ほんの50年前の数学の"最先端"なのだから!)。
多項式の判別式から式展開できたところで、それで何かが判るというわけではないのだと、そういうことなのではないかと。