過去の日記

2007-03-06 [長年日記]

16歳のセアラが挑んだ世界最強の暗号 からのパズル [book]

16歳のセアラが挑んだ世界最強の暗号

  • 作者: セアラ フラナリー,デイヴィッド フラナリー
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売: 2001-08
  • ASIN: 4140806311
  • メディア: 単行本
  • amazon.co.jp詳細へ

うぅむ。面白いじゃないか。全体の話は読了時に書くとして。
1章で出てきたパズルが面白い
p23 (引用にあたり適宜改行した)

保険外交員のパズル――保険会社の外交員が住宅地にある一軒の家のドアをノックした。
女の人が顔を出したとき、外交員は尋ねた。「あなたにはお子さんが何人おいでですか?」。
「三人です」と女の人が答えた。
「お子さんたちの年齢は?」ともう一度外交員がきいたとき、女の人はそのあつかましさに頭にきて、答えようとしなかった。
外交員は自分のぶしつけさを謝り、子どもたちの年齢の手がかりになるヒントがほしい、といいだした。
「三人の年齢をかけると36*1になります」と女の人がいった(子どもたちの年齢は正の整数とする)。
外交員はしばらく考えていたが、しばらくしてもうひとつヒントを求めた。
「三人の年齢を合計するとお隣の家の番地になります」。
それを聞いた外交員はすぐに塀を飛び越えて隣家の番地を確かめにいった。
そして、もう一度戻ってくると、最後にもう一つだけヒントがほしい、といった。
「わかりました」と女の人。
「いちばん年上の子はピアノを弾きます!」。
外交員はすぐに子どもたちの年齢を知った。さあ、あなたにはわかるだろうか?

うーん。秀逸。


p31。地球に巻いたロープのパズル。要約。

地球の赤道にロープがぐるりと巻き付けられているとしよう。
ロープは環状になっている。
その長いロープをいったん切って、そこに長さ1mのロープを付け足す。
ロープはちょうど1m分長くなっているから、もう一度環状になるようにすると地表とピッタリではない。
では全体が地表から高さが同じになるように浮かせてみよう。
さて、地表との隙間はどのぐらい?


答えは読了時に……。


(2007/3/10 追記)
解答!
でも引用しないで書いてみよう。


1つめの問題
全部かけると36。
とりあえず素因数分解すると、2,2,3,3。
36を3つの因数に分解する。素因数分解ではない。
自明な因数1を考慮することを忘れないように。

1,1,36
1,2,18
1,3,12
1,4,9
1,6,6
2,2,9
2,3,6
3,3,4

となる。


次のヒントは「三人の年齢を合計すると隣の家の番地になる」だった。

1,1,36 → 38
1,2,18 → 21
1,3,12 → 16
1,4,9 → 14
1,6,6 → 13
2,2,9 → 13
2,3,6 → 12
3,3,4 → 10


ここからがエレガントだ。
隣の家の番地は何番だったのかが判らない。
だけどここで3つ目のヒントを要求した。
つまり、隣の家の番地を見ても子どもの年齢が判らなかったのだ。
この条件を満たすのは……、

1,6,6 → 13
2,2,9 → 13

これだ!


そして3つめのヒント。「いちばん年上の子はピアノを弾きます!」
「いちばん年上の子*2」がいるのはどれ?

2,2,9 → 13

これ。もう一方は年上の子が2人いる!
よって、2才の子が2人、9才の子が1人、が答え。


2つめの問題
およそ16cm。
地球のぐるりに1mのロープを足すと地表から16cm浮き上がる、が答え。
円周の長さは半径をrとすると2πr。
地球の半径――最初にロープで作った輪の半径をr、1mロープを継ぎ足して作った輪の半径をr'とする。
2πr' = 2πr + 1
となる。
2π(r' - r) = 1
r' - r = 1 / 2π ≒ 0.16
《半径の差》はおよそ16cm。


読後に書いたエントリはこちら。

16歳のセアラが挑んだ世界最強の暗号

犯罪不安社会 [book]

これも未読状態で取り上げちゃう。

犯罪不安社会 誰もが「不審者」? (光文社新書)

  • 作者: 浜井 浩一,芹沢 一也
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売: 2006-12-13
  • ASIN: 4334033814
  • メディア: 新書
  • amazon.co.jp詳細へ

昨日のエントリで「ηなのに夢のよう (講談社ノベルス)(森 博嗣)」の読了というのを書いた直後に、これを手にするあたりがなんとも……まがいいというか悪いというか。
ある意味、強くリンクしてる本だ。
事件そのものではなくて、周辺がそこに共通項を見いだそうとしている。
「騒いでいるのは中心ではなくその周辺」というような感じの台詞が「η」にもでてきたはず。


p90

人びとは娯楽のごときものとして事件を消費した。

という言葉は、まさにミステリ小説に対する読者のスタンスに他ならない。「η」は――あるいは犀川や瀬在丸たちは――そのような「ミステリ読者」をあざ笑うかのように「事件」を軽々と飛び越える。その様な「事件」は中心ではない、と看破する。


「犯罪不安社会」を読んでいて、これ一体どういうシンクロニシティか*3と、薄ら寒くなった。

*1 引用元での表記は三六だったが引用にあたって表記を変更した。

*2 日本語だとちょっと曖昧ではあるが元の問題は英語。なので単数と複数は厳密に区別される。

*3 本気じゃないですよ。