2006-12-02 [長年日記]
■エンジニアのための時間管理術 (中編)
やっぱり中編にしよう。
前編はこちら。
p75 一日の仕事のスケジュールの項。
・作業を小分けにする
作業を小分けにし、きりのいいところで残った作業を翌日に回す。
これはGTDでの project になるだろうか?
GTD本を読んで、project の管理が詳らかではないな、と思った。
この本でも、(いわゆるプロジェクトマネジメントでいうところの)プロジェクトとの関わり合い方——つまり誰か他の人がマネジメントするプロジェクトに参画しつつ、自身の時間をマネジメントする、そういう状況での話しが無いのが気になる。
(とはいっても、万人に通じる時間管理術という方法があって、それが本になっている、なんていうのは絶望的理想であるわけで、実質自分に合わせて運用していく必要がある。そのことはGTD本でもこの本でも同じ。「無いのが気になる」というのは、安易に答えを求めているわけではなくて、その辺に気を配って運用していく必要があるな、と感じたということ。長い脱線だった)
p111
ひと月/1年/5年先の目標を仕事とプライベートに分けて設定してみよう、という項からの引用。
とにかくそれらをリストアップしてください。終わるまで待っていますから。
本当です。待っています。表が完成するまで、次の段落に進んではなりません。あなたの頭の中ではなく、実際の紙にリストアップしてください。
この本、こんな感じで、「いまオフィスにいるならそれをしてください。それまで待っています」という記述がちょこちょこでてくる。けれど、この項は更に念が入っている。「次の段落」を引用する。
それらをリストアップしませんでしたね。いつかこの章をもう一度読んだときに表を埋めればいいと考えましたね。本書のすべての演習には、共通点が1つあります。それは、実際にやってみなければうまくいかないことです。ですから、いますぐ紙を取り出して、書き始めてください。
と続くのだ。
そのちょっと前のページ。
p109
目標を達成するための極意は、それらを書き留めることです。頭の中にある目標は、自分が考えているほど具体的ではありません。それらは漠然としているので、評価することも、他人に説明することも、取り組むこともできません。
最後のボールドによる強調は私によるもの。
これは、実際に上の111ページの演習をやってみて、実にその通りだと感じた。それに、GTDも基本的には同じ考えだ。
紙に書き出しなさい!
私も近い考え方を持っているので、これには賛同できる。以下、私が書いていたエントリから適当に検索してリンクを書いておく。
p131
そうしたサーバーのインストール方法がわからない場合には、上司に助けを求めても構いません。この場合は、上司に作業を頼むのではなく、トレーニングを要求します。トレーニングを要求すると、上司の権限が行使されます。マネージャの主な仕事は、リソースを割り当てることです。上司は、あなたを個人的にトレーニングするのが適切か、それともその作業をあなたの同僚に依頼するのが適切かを判断することができます。
「他人に聞く」という意識ではなく「トレーニングを要求する」という発想が今までなかったので、ほう、と思った。
上司にトレーニングを要求する → 上司自身、あるいは他の人間のリソースを manage し、それが妥当かどうか判断する → 場合によってはその仕事/作業に対するリソース割り当てそのものが変更されるかもしれない!
p132
たとえば、かつて訪れたITヘルプデスクでは、顧客の要求に対する最初の平均応答時間を短縮できたかどうかに基づいて、マネージャに報酬が与えられていました(その結末は想像できるでしょう)。
(略)
次の年、経営陣は問題解決までの要求時間を査定するようになりました。想像できるように、(以下略)
想像できるだろうか?
コンピュータにおけるタスク管理(OSの「タスクの優先度」とかのこと)で習ったことがある。「平均のスループット時間を最小にするためのスケジューリングは、スループット時間が短いタスクを最優先にすること」でありその欠点は「スループット時間が長いタスクに資源が割り当てられなくなる」。
で書いた。(この本の続きの文章はもう少し下に書いた)
p140
SAは休暇がとれないことをよく自慢しています。「この会社は私がいないとやっていけないのさ。だからもう何年も休暇を取っていないんだ」筆者はこれを聞くとうんざりします。
その通り(ここでいう休暇は、一週間〜10日にまたがる休みのこと)。
その言葉は真実ではない。
あるいは、仮に真実だとしたら、そういう状況にならないようにするのもその人の「仕事の一つ」である。そう言っている人は「自分のやるべき仕事」を一つ、やりもせずに放棄しているだけにすぎない!
続けて p141
休暇から戻ってきたら、代理業務に欠けている部分があったかどうかを確認する。あなたが戻ってくるまで何らかのサービスが停止していたが、それがなくても業務に支障がなかったことが判明することもよくある。うまくいかなかったのはどの部分だろうか。何をドキュメントにまとめておけばよかっただろうか。
休暇には、そんなメリットもある。そのメリットを棄てるべきではないのだろう。
自分が一週間休みをとるためには何をするべきか? そう自問することは決して無駄ではないはずだ。同時に、それを実行するのも、無駄ではないだろう。
p149 メール管理の章
月に一度、購読しているメーリングリストを見直して、どれか1つの購読を中止します。
今ならさしずめ、購読しているフィードを2つ中止する、てなところだろうか。
(後編)はメール管理の章からということで。この辺りで筆をおく。
そうそう、答えを書いておこう。
p132
すぐにそのマネージャの部下全員が最初の呼び出し音で(または電子トラブルチケットを受信した直後に)電話に出て、相手を保留状態で待たせるようになりました。
(略)
チケットは問題が本当に解決したかどうかにかかわらず、すぐにクローズされるようになりました。「このチケットをクローズします。このアドバイスで問題が解決されない場合は、再度チケットを作成してください」というメッセージがあたりまえになりました。
間違ったメトリクス測定は、仕事を向上させることはなく、むしろ惨憺たる結果を招くこともあるという、そんなお話。
書籍たち
続き
■気になる本
(BK1から引用)
彼らは孤独に、それぞれ目覚める。そこは小さな部屋、あるのはベッドとパソコンだけ。居場所を把握するため、仲間探しのチャットが始まる。呼びかけに応じたのは男女8人−。現代ロシア文壇に異彩を放つ著者が放つ迷宮神話。