2006-11-27 [長年日記]
■エンジニアのための時間管理術 (前編)
とりあえず。
はじめに xii
- タイムマネジメントに関するものをすべて1か所にまとめる。
- 今取り組んでことに頭を使い、それ以外のことには外部ストレージを使用する。
(略)
……GTDじゃん!
そのあとはちと違うが。
「それを気の利いた頭文字にうまく組み入れるとか?」
いいえ、そのようなことは絶対にありません。
ぷっ、とちょっと吹き出した。この本、こんな感じでエンジニアらしい比喩とかがたくさんでてくる。「カーネルセマフォのように」とか。
p4
上司が重役から学ぶように、観察することによって学ぶ機会はほとんどない
これは実感している。だからこんな本を読んでいるわけだ。
p16 集中しやすい環境 のところ
集中できない原因は、外部からの割り込みだけではありません。私たちにも責任があるのです。すなわち、音楽をかける、背景画面が勝手に更新されるようにしておく、IRCチャットルームのウィンドウを開いている。IMクライアントを目につく場所に置いておく、といったことです。
なるほど。
そういえば、デスクトップに書きかけの文書をテキストで置いておくと、他のことをやってる時でも、それがちらちらと見えることになって気になる、というのもあるかもしれない。
ということで、デスクトップは大掃除をした。
p49 特定の作業を行いながら自動チェックを使用する のところ
ネットワークケーブルを切断する前に、「ping」の連続実行(1秒に1回)をセットアップする。正しいケーブルを切断すると、pingが失敗し始める。
「なにを些細なことを」とここだけを読むと思うかもしれない。しかし、こういう些細なルーチンを習慣づけておくことが、ストレスを減らすと主張する。
ケーブルを切断してからpingで確認する手順だと、もし失敗したときに焦ってしまう――つまり強いストレスになり気が動転してしまうだろう。
この章は「ルーチン」という題。
ここでいうルーチンは「一度だけ考え、何度も行動するための手段」ということ(p38)。
p74 その日のスケジュールの話
この世には優勢順位が3つしかないことを友人が教えてくれた。
- 期限が今日で、今すぐ終わらせる必要がある
- 期限が近づいている
- それ以外
「優先順位が3つしかない」というのを読んで、「デスマーチ」にでてくるトリアージという概念を思い出した。「やらねばならぬ(must-do)」,「やったほうがいい(should-do)」,「やれればやる(could-do)」の3つ。
どちらも言っていることは変わらない。
これ以上の(例えば10段階とかの)優先順位付けは適切でない、ということ。
p77
優先順位の低い仕事は翌日に回しましょう
にはちょっと首をかしげた。
それでは、ちょっと前に出てくる「増え続ける破滅の作業リスト(p61)」になるんじゃないか? と思ったのだ。
でもそのあと考えてみて、ここで肝要なのは「今日のリストから追い出す」ことにあるわけだな、ということに思い至った。
少なくともその日一日は明日に回した項目を目にしないようにしろと言っているのではなかろうか。
とりあえずこの辺で。次は中編になるのか後編になるのか……。
(追記)
中編になりました。
エントリと関連があるものたち
■トニー・ブザン氏インタビュー
現在、ブザン氏はPC上でマインドマップを描ける新しいソフトウェアを開発中だ。
ITmedia Biz.ID:マインドマップは「脳内インターネット」
パソコンのソフトで描くべきじゃないって言ってたじゃん! と思ったら……。
自分の手で描くことを重要視しているブザン氏は、このソフトをペンタブレットで入力可能にした。
ITmedia Biz.ID:マインドマップは「脳内インターネット」
あ、納得。
■tracからくるメールに日本語が入るとガタガタなんですが……
0.10で直すよ。0.9.x は修正しないだろうからアップグレードを検討してね。
だそうで。
……そうですか。
↓情報源。
Yes, and this is one of the many problematic details that we solved by using unicode internally, in 0.10.
#4054 (Wrong alignment of non-ascii characters in email notifications) - The Trac Project - Trac
This won't be fixed for 0.9.x, you should consider upgrading.
■人間がいっぱい 読了
言わずと知れた映画「ソイレント・グリーン」の原作である。
という書き出しにしたいところだけど、2つほど問題が。
たぶん、ちっとも「言わずと知れた」じゃないだろうってこと。知り合いを思い浮かべてみて、映画「ソイレント・グリーン」と言って知ってそうな人間って、一人かな? 楽観的に見て三人がせいぜいだろうな。
もひとつ。どうしてこの小説を原作にしてあの映画になったんだろう?
……と言っても、映画を観たのは10年とちょっと前、それも一回きりなのでちょっと記憶が怪しい。それでもなお断言できる。
こんな話じゃ無かった! と。
映画の方は「ペシミスティックSFの代表作」と、お気に入りのアンチョコ本に書かれている。その通りで、人口問題、食糧問題の行く末を実に悲観的に書いている。それは小説も映画も同じ。
小説の中盤までは、けれどそんな時代でも人間はしたたかに生き抜いている、という内容だなと思って読んでいた。
しかし、主人公の同居人ソルの死が、中盤から終盤への転換を告げる(と、ここで映画版しか観ていない人は驚くかもしれない)。その死は穏やかに描かれる。けれど周りへの――残された生者達への――影響は計り知れず、胸を灼かれるような展開が待っていた。
苦しく、切なく、生きてはいるけれど、幸せにはほど遠く、否、どう生きようとも幸せには辿り着けないのではないかという絶望的な思いさえ抱かせるほどの、鋭い文章だった。
見事。と賞賛したい気持ち。
うーん。DVDの方はレアものらしい。
小説の方は潤沢ではないけれど、まぁレアというほどのものではないな。