2005-10-25 いばらの王 熾天使来臨る街 serial experiments lain [長年日記]
■いばらの王 読み返した
思わず唸ってしまうほどよくできた作品だ、と思った。
第1話から5巻までの間で全てのピースが揃っている。
完結した後に読むと最初の3ページだけですでに「あー、なるほど」と思ってしまって、その次の瞬間にそう思ってしまったこと自体に、凄いな、と感じた。
いばらの王についてはもっと下の方でも──内容は無いけど──書いてますよん。
■iPod nano 使い始めて10日ぐらい経ってみて
やっぱり電池の保ちがちょっとネックか。
直前に使っていたのが、
がウリのスティックタイプのネットワークウォークマンだっただけに落差が激しくて、余計にそう感じるのかも。
ただ、充電にかかる時間については、iPod shuffleやiPod(photo)に比べると改善されているのを実感できる。
ちゃんと進歩しているな、と思った。
■serial experiments lain いばらの王 熾天使来臨る街
まずは、ラッセルのパラドクスから。
ある村に、ただ1人の理髪師がいて、自分で自分のヒゲを剃らない村人全員のヒゲだけを剃るとする。さて、この理髪師は自分のヒゲを剃るや否や?
ある国では全ての市は市長を持たなければならないが、市長がその市に住んでいないケースが多いという。そこで、その様な市長だけを全て集めて特別な市「市長市」を作ることとなった。さて、この「市長市」の市長になれる者が、誰かいるだろうか?
それは、自己言及的集合という形で、ラッセルが論理学に打ち込んだ楔。
最終話で、「自分がいない世界・いなかった世界」を望み、そんな世界を作り出した玲音がいた場所は、いったいどこだったのか?
wiredとrealの境目がなくなることが予言された時、玲音が自分が世界を変える力を持っていることを確信した時、彼女は何をしたか? ありすに関する噂話を皆の記憶から消し去った。その時、ありすはその"自分にとっては都合のいいはずの世界"をどう感じただろうか?
メドゥーサは、人のイメージを実体化させる。それは人の"想い"が世界を変えるということ。
「……世界を変えたかった」
「そうするしか……」
最終巻で、"いばらの世界"を作っていた『彼女』がそう呟いた。世界を変えてまで彼女が望んだことはなんだったか。5巻までの間にそれは示されている。それに気がついた者と気がつかなかった者。
"自分が生きている世界"が、"自分が生きているはずだった世界"だと知ることで物語は幕を閉じた。
熾天使 来臨る街シリーズの世界。
栄華の頂 恣(ほしいまま)にするには とある文明社会
理論・科学 そして──それらを操る技術……
"永遠"だった筈の 加速度
―ある一点でだ―
突如 人外神技の領域へ 相―転―移……
ヒトは 完全に見失ってしまった
ヒトたちの行動 および思考の基盤 としてきた"世界観"を
それ というのも
ヒトの意識を 人の思うすべを
世界構造──物質レベル──に関与させる手段を 発見したから
結果──ヒトは 自らの立脚点を失う
世界は 現実と虚構の混沌……
──曖昧! ──曖昧! ──曖昧、曖昧、曖昧!!
………………
ヒト 愚かなるかな 悲しき実在──(非実在?)
この いたたまれぬ状態から 脱出すべく
新たなる 世界観を 確立すべく
影なき遍塞 あいまみむべく
試行錯誤 繰り返しの試行錯誤……
──精神の、永い"離散の旅(ディアスボラ)"の始まりである
ここは、そんな人々がおこなった、ひとつの試みの世界
世界構造を言語に置き換えた街……
(引用註:先頭行"ほしいまま"は原文では"恣"のルビ。他、強調表示部分は原文では傍点。)
熾天使 来臨る街II 模造の天族 掲載時に本編の後に書かれていたこの世界観。残念ながら続きの話が掲載されることはなく、単行本収録時には"無かったこと"にされてしまった。
かつては綴られ、今手元にあるこの"記録"は、存在か非存在か?
追記
「熾天来臨る街」だっけか?
■礼儀? 礼義?
「れいぎただしい」は「礼儀正しい」? それとも「礼義正しい」?
八徳(仁義礼智忠信孝悌)がパッと頭に浮かんだ人の方が混乱するのでは?