2005-06-29 [長年日記]
■Q.E.D カントール デデキント ゲーデル そして ミネルヴァの梟
まぁ、少しずつながら読み進めている、
↑2005/11/5 追加
だけどやっぱり難しいー。30過ぎの頭に詰め込むのはちょっと大変。やっと2割ほど読んだところか。
というわけで大学時代に読んだブルーバックス、
を実家から持ってきて軽く読み始める。こちらは数学界においてゲーデルが不完全性定理を導くに至った経緯をざっと示した本。
現時点でのミステリィコミック最高峰(と私は思っている)「Q.E.D.」も引っ張ってきてしまえ。
まずは、
「無限の月」。燈馬君と胡(フウ)は「無限」の話をする。
例えば、「整数」と「偶数」とどちらが多くあるか? 偶数の集合⊂整数の集合*1なのは明らかだ。
だが、実は「どちらも同じだけある」。,,-2←→-1,0←→0,2←→1,4←→2,,,という様に関連づけていくと、どちらも余らずにきっちりと1対1の対応がとれる。
次に、「整数」と「分数で表せる数、つまり有理数」はどちらが多いか? これもまた「どちらも同じだけある」。カントールが2次元の配列状に配置した「有理数の表」を順番に数え上げていく手法を示した。(Q.E.D.からスキャンした画像)
そのような、自然数で順番に数え上げられる無限集合を「可算無限集合」 \(\aleph_0\)
(アレフゼロ)と名付けた。
次に、「無理数」と「有理数」ではどちらが多くあると言えるか? カントールはこれにも答えを出す。後に「対角線論法」と呼ばれることになる巧みな背理法によって。
1対1の対応を付けようとすると矛盾が生じ、「無理数」は「有理数」よりも多くあることが証明される。実数全体の集合にあたる無限集合に \(\aleph\)
(アレフ)の記号をあてた。
そして、カントールは「無限」に囚われてしまう。連続対仮説 \(\aleph=\aleph_1\)
もしくは \(2^{\aleph_0}~=~\aleph_1\)
を証明することができずに失意の内に世を去る。*2
後にこれは証明不能な問題であることが証明される。その証明をしたのは誰あろうゲーデルだった。
ここからはQ.E.Dには書かれていない話。その前に2次元平面内の点(x, y)の集合が、実数の集合すなわち \(\aleph\)
であることをカントールは証明している。
実数全体の集合というと1次元の直線上の点の集合を思い浮かべればいい。それと2次元平面内の点(x, y)の集合が1対1に対応するという!
証明したカントール自身、信じられない気持ちでその結果を畏友に宛てて手紙をしたためたそうだ。
その畏友の名は……デデキント。
にでてくるエピソード名「デデキントの切断」。それはまさに、「無理数」は「有理数」よりも多くあるということを直感的に説明したもの。
「デデキントの切断」に登場したロキことシド=グリーンの初登場の回はというと、
の中の「ブレイク・スルー」。その中でロキは問題を出す。
1mの木があるとする 1年目は1/2m 2年目は1/4mって 1年間に前の年の半分 成長するとして この木が 千年成長したら 高さははどれくらいに なるでしょう?
答えは、「2mに満たない」。限りなく2mに近づくだけ。
そして「G.E.B(ゲーデル・エッシャー・バッハ)」に戻ろう。「小さな和声の迷路」の中でアキレスと亀はランプからジン(妖霊)を呼び出す。アキレスは言う。「たった三つじゃなくて百個の願いごとをしたい」と。妖霊は言う「メタ願望をかなえてはやらん」。
それでも食い下がるアキレスに対して、妖霊は自分の持つメタ=ランプを取り出し、メタ妖霊を呼び出し始める……。
やがて、妖霊はメタ妖霊を呼び出す。 妖霊は言う。「なあに、ほんの一瞬で足りる――」。 メタ妖霊に妖霊は要請する。 一つの無型願望の持続するあいだだけ。どうかこの願いをかなえてはくれんか? メタ妖霊は言う。「ほんの半瞬待ってくださいな。」 メタ妖霊は妖霊の二倍素早くメタ=メタ妖霊を呼び出し、要請する。 一つの無型願望の持続するあいだだけ。どうかこの願いをかなえてくださらない? メタ=メタ妖霊は言う。「ほんの四分の一瞬待ってくれないか?」 メタ=メタ妖霊はメタ妖霊の二倍素早くメタ=メタ=メタ妖霊を呼び出し、要請する。 … … … … 神 … … … … メタ=メタ妖霊はメタ妖霊に言う。「きみの願いはかなえられたよ、メタ妖霊さん」 メタ妖霊は言う。「あなたの願いはかなえられたわ、妖霊さん」 妖霊はアキレスに言う。「きみの願いはかなえられた」 そして、妖霊が「ほんの一瞬で足りる」といってから、正確に一瞬経過している。
この無限に続く妖霊からメタ妖霊,メタ妖霊からメタ=メタ妖霊,メタ=メタ妖霊からメタ=メタ=メタ=妖霊,,,の呼び出しが「正確に一瞬」経過するだけで終わる不思議さ。
さりげなく、「アキレスと亀のパラドックス」の回答が呈示されているのだ。
「アキレスと亀のパラドックス」は、ゲーデル,エッシャー,バッハ―あるいは不思議の環(野崎 昭弘/はやし はじめ/柳瀬 尚紀/ダグラス・R・ホフスタッター)の、最初の対話「三声の創意(インヴェンション)」で示されている。
G.E.B.は「アキレスと亀のパラドックス」を呈示するところから始まっていたのだった。
ゲーデル・不完全性定理―"理性の限界"の発見 (ブルーバックス (B-947))(吉永 良正) の始まりは?
プロローグ「"理性の迷宮"への招待」に出てくる文を引用しよう。
ミネルヴァのフクロウは黄昏に飛び立つ、といいます。 ゲーデルの不完全性定理という、"フクロウ(知)"も 歴史の暮れ方に飛び立ち、 一つの時代がいわんとしていえなかったその時代の 真の"精神"をも告知したのでした。
そして、Q.E.D.の始まり、
のファーストエピソードもまた、「ミネルヴァの梟」だった。
■drupalで遊んだ一日
コンテンツを作っていくのは大体判ったとして、きれいにカテゴリに分類する方法論みたいなもの? がうまく構築できない。
カテゴリの使い方とかもまだ上手く理解できてないし、Glossaryを入れても辞典の作り方判らないし。
はてなやWikiみたいにキーワードで勝手にリンクされていく自己組織化的な分類と、コンテンツ作成時にこれはこのカテゴリみたいながっちりした分類とが融合したような、そんなサイトが作れそうな気もしたのだけど、そう思い通りにはいかないか。
Amazonからデータ参照するモジュールも上手く動かなかったりしてそのへんをハックするのも面倒だし。
何よりも、目的もなくCMSを触っていても限界があるというか、適当に触って終わりというか。
まぁ、XOOPSをいじった初日よりは、楽しかったと書いておこう。
■その警告ダイアログは「証明書のインストールを促す」ものではない
これらのページ自身がLGPKI発行のサーバ証明書によるhttps:// ページなので、 当然にセキュリティ警告が出る(サーバ証明書の真正性が確認できないとの 警告が出る)わけだが、 佐賀県は「セキュリティ警告が表示されたら」のページで、「はい」ボタンを クリックせよと言っている。
高木浩光@自宅の日記 - 佐賀県のアンケート結果「証明書のインストールは簡単」
と書いた上で、その下に佐賀県のページ(broken link)を引用して、重要な部分に色をつけてくれている。その部分、
これは、本サイトと安全な通信を行うために必要な「証明書」のインストールを促すものです。
が真っ赤な嘘だということをもっと主張してもよさそうなのに。
「送られてきた証明書は信頼できないものなのだけど本当によいか?」と言っている警告に対して、上記の様に明らかに間違った説明をしている。これは「安全でない通信で証明書をダウンロードさせるインストール手順」よりも、ずっと危険なことのように思う。
他のサイトで同じダイアログが出た時に、「必要な証明書のインストールを促す」画面だと思う人を増やすだけの危険な説明だ。
せっかく手間をかけて背景色を変化させて注目させておいて、そのあたりの説明が無いのは残念。
……まぁ、そのへんのことは自明だということで、わざわざ書かなかったのだろうとは思うのだけど。
■Drupal
インストールして遊んでいるところなのに、drupal.orgがダウンしている? らしくてモジュールとかが手に入らないぞー。
いったん中断。
■Windows Update
更新された様だけど、@ITとかに関連記事がでてない。
とりあえず待ち。