過去の日記

2007-01-01 [長年日記]

ディアスポラ 読了 [novel]

2006年ベスト1(予定)だった本を無事2006年内に読了。

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

  • 作者: グレッグ・イーガン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売: 2005-09-22
  • ASIN: 4150115311
  • メディア: 文庫
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いまさら私が書くまでも無いぐらいの本だろう。
面白かった。イーガン流本領発揮。


目先を変えて書くことにしよう。
ディアスボラという単語を始めて見聞きしたのはやまむらはじめの「熾天使 来臨る街」初掲載時に付いていた解説ページ。

栄華の頂 恣(ほしいまま)にするには とある文明社会
理論・科学 そして――それらを操る技術……


"永遠"だった筈の 加速度
―ある一点でだ―
突如 人外神技の領域へ 相―転―移……
ヒトは 完全に見失ってしまった
ヒトたちの行動 および思考の基盤 としてきた"世界観"を


それ というのも
ヒトの意識を 人の思うすべ
世界構造――物質レベル――に関与させる手段を 発見したから


  結果――ヒトは 自らの立脚点を失う
   世界は 現実と虚構の混沌……
 ――曖昧! ――曖昧! ――曖昧、曖昧、曖昧!!
    ………………


ヒト 愚かなるかな 悲しき実在――(非実在?)
この いたたまれぬ状態から 脱出すべく
新たなる 世界観を 確立すべく
影なき遍塞 あいまみむべく
試行錯誤 繰り返しの試行錯誤……


――精神の、永い"離散の旅(ディアスボラ)"の始まりである


ここは、そんな人々がおこなった、ひとつの試みの世界
世界構造を言語に置き換えた街……
(引用註:先頭行"ほしいまま"は原文では"恣"のルビ。他、強調表示部分は原文では傍点。)

イーガンのディアスポラとは真逆だ。精神を制御する技術の発達した、イーガンの世界。精神が物理法則さえ支配できることを知ってしまった、やまむらはじめの世界。
どっちも好き。