2007-08-09 [長年日記]
■マネーロンダリング
マネーロンダリングは「キィワード」。
マネーロンダリングとは、という話ではなくて、マネーロンダリングというキィワードを通して見えてくる世界がある、という話。
もちろん最初はマネーロンダリングとは何か? なぜ成立するのか? その理由は? という話から入る。
ここで「わらしべ長者」という誰でも知っている話を引き合いに出して説明するあたり、巧いと思った。
わらしべ長者の最後で、屋敷と田畑(でんぱた)を手に入れた状態を考える。
なぜ若者はこのような屋敷と田畑を所有しているのか? という疑問も持つ者がいたとしよう。
それに答えられる屋敷の元所有者は、馬に乗って遙か遠くへ出かけている。
馬を譲った男は、自分はろくに動きもしない駄馬を手放したと考えている。
みかんと反物を交換した女は、その相手が立派な屋敷に住んでいるなどと思いもしないだろう。
若者が自分から語りさえしなければ、彼が屋敷と田畑を所有している理由は判明しないだろう。
もちろん、ここでいう「なぜ若者はこのような屋敷と田畑を所有しているのか? という疑問も持つ者」は査察官や警察組織の謂いである。
査察官といえば「マルサの女」。
「マルサの女」と言えば脱税。
本の後ろの方にでてくるのだけど、闇経済の内訳で、個人の脱税という項目の比率が意外に大きい。
50%以上。
うーむ。
タックス・ヘイブン(Tax HavenであってTax Heaven ではないそうである。知らなかった)、スイス銀行、地下銀行、カジノ、ネットオークション。
これらマネーロンダリングが行われる「場所」。
ロシアンマフィア、タリバン、アルカイダ。マネーロンダリングを行う「組織」。
汚職(賄賂、横領)、脱税。マネーロンダリングを行う「理由」。
ベンチャー企業への投資、不動産、高級車に貴金属。マネーロンダリングでお金の仲介になる「モノ」。
とまぁ、様々な「闇経済」をマネーロンダリングというキィワードで縦断する本であった。
余談
の著者ですな。
あたりもぜひ。