過去の日記

2008-01-28 [長年日記]

無限小,無限大 そして"その次" [etc]

「普通の数」モードと別の公理系が必要だよなぁ、とだけ呟いておく

と、前のエントリで書きました。

無限小数の不思議 - 2008-01-26 - Log of ROYGB

を受けてでした。


「普通の数」モードと別の公理系について書かれたおそらく傑作だろうというのは――おそらく、というのは同テーマの本を読んだことがないからです。ご存じの方は教えてください。教科書的なもの以外でw――ドナルド・クヌース先生の、

至福の超現実数―純粋数学に魅せられた男と女の物語

  • 作者: ドナルド・E. クヌース
  • 出版社/メーカー: 柏書房
  • 発売: 2004-11
  • ASIN: 4760126465
  • メディア: 単行本
  • amazon.co.jp詳細へ

です。


この本で扱う公理系については細かくは記しません。まるまる1冊の本が描けてしまうぐらいですから。
現代数学の公理系の自然数の定義は、まずφ(空集合)を0とします。次に無限集合の定理から{φ,{φ}}を1と、{φ,{φ,{φ}}}を2と定義していきます。
帰納的にこれで自然数全体を構成します(これが唯一絶対の方法ではないことに注意)。

さて問題。「では『どこまでいけばすべての自然数が揃った』ことになるのでしょう?」


クヌース先生の本でも、まず最初に公理を与えられます。
ちょっとびっくりですが、それは文で記されているのです。それを見た一組の男女がそこから帰納的に『数』を作り出していきます。
『数』と括ったのは、「それは私たちの知る数に似た性質を持っていることが順に確認されていくけれども、私たちの知る数そのものではない」からです。

最初の日、次の日、またその次の日……と、『数』の種類は増えていきます。
最初の日には『0』――つまり0らしき『数』が姿を顕し、次の日には『1』と『-1』が表れます。
"次の日"に『-1』が出てくるのは公理系の違いのためです。
公理から『数』の同異の関係や、大小の関係が発見され、加算や減算(加算の逆元)を見つけていきます。


さて、この物語(そう! この本は小説形式なのです!)のクライマックスは、
第十四章 宇宙
第十五章 無限
第十六章 掛け算
となっています。
第十四章で主人公達が気づきます。
無限の日が経った時、この公理系は『実数』全体を表現できることに。
そして『無限大』が姿を顕します。つまり他のすべての『数』よりも大きい『数』。


やっと本題。『無限の日が経った時』、『0』よりも大きく『すべての正の実数』よりも小さい『数』がでてくるのです!
(その『数』、つまり『無限小』は無限にあるけれども、『無限小』同士には大小関係は成立しない――大小関係の判定ができない――はずです)
そして、『無限の日が経った時』の『次の日』には、『0』と『無限小』の間にさらに『数』がでてきます。

つまりn桁目の値が何であっても、nが無限の場合は0であるとしたのと同じ値にしかならないのです。だからn桁目の数字を変えることで値が変るのは、nが有限の場合に限られるわけです。値が変わらなければ、表記が違うけれども同じ数です。

2008-01-26 - Log of ROYGB

を読んだ時に想像しました。その様な公理系を作った時、「表記が違うけれども同じ数」なのか「違う数なのだけどその差が『無限小』」になるか、そのどちらかだろうなぁ、と。

さて、驚くべきことに、ここまでが第十四章です。この次に第十五章 無限。そしてさらにその次に、第十六章 掛け算(!)と続くのです。


「無限」に興味がある人は一読を薦めます。
過去に2度引用したことがある文。

p142
2×π≡π+πを正当に証明できるけど、π+πを有限回の手順で計算できるとは限らないってことね。神様だけが計算を終えられるけど、人間にできるのは証明を終わらせることだけってこと。

は、第十五章 無限にでてきます。
今回はその後を取ってでてくる台詞を引用することで締めとしましょう。


……いいぞ、わかった。計算の枝分かれが無限にあるけど、どの枝も有限回の手順で終わるんだ。

計算の枝分かれが無限にあるけれども、そのどの枝も有限回の手順で終わることを証明できる。
ゆえに2×π≡π+πは正当であると言うことができる。

たとえ、人間に計算できなくとも。

egword 販売終了 [news]

がーん。
もし仮に将来、Mac を買うことがあったらきっと一緒に買ったであろうソフトが〜。

「egword」「egbridge」のエルゴソフト、パッケージソフト事業を終了


prima materia - diary : 親指シフトとかワープロとか

で書いてるな。

http://www.ergo.co.jp/products/egw16/speedy.html

ここの動画とか見るとすごいものなのになぁ。残念。

2つの無線LANルータをつなげられないものだろうか? [徒然]

802.11a/b/g を同時に対応する無線LANルータに買い換えた。
暗号化にWEPしか使えない機器があると、WEPに設定するしかないから。今使っているマシンは802.11aが使えるので、そちらはWPA-PSK2/AESにして、b/gはWEPにしよう、と。
で、PSPを設定していて気がついたのだけど、これ、WPA-PSK/AESが使える。
なんだ、買い換えてもWEPが残すしかない状況に変化がない。

でふと思ったのは、2つ動作させて、b/gについて一方をWEPに、一方をWPA-PSK/AESにできないかな? ということ。
うーん。
それぞれはルータで、DHCPの機能も持っていて……、と悩んでいたら夕食の準備の時間になった。
食べ終わってから、今、これを書いている。

こんな感じでするといいよ、というページとかあったらコメントください。