2007-06-18 [長年日記]
■魔地図 読了
《異形コレクション》の中でも、これは出色の出来かも。
印象に残る作品が多かった。
テーマがよかったのかな。
「大帝国の大いなる地図」(ダーヴィデ・マーナ)は、情報と物体のどちらが主か? という現代的なテーマを含有しているようにも読める。(prima materia - diary : データと現実のどちらが本当? あたりを参照)
「独白するユニバーサル横メルカトル」(平山夢明)。タイトルの通り、"地図の独白"という様式そのものがすでに独特だけど、地図の持つ"怪しい魔力"がストレートに書いてある。
「迷界図」(石神茉莉)はじわじわ怖くなるという面と同時に、最後にドーンと大きな衝撃で恐怖を与えるという面の両方を持っている希有な作品。
アンファン・テリブルと見ることもできる。
ホラー映画マニアの友人でさえ舌を巻く怖さを見せた18禁ゲーム*1「狂った果実」をふと思い出した。
「残された地図」(菊池秀行)は侵略もの。そして消失もの。
恐怖を感じるのは"残されてしまった"側だというのは、『ボディ・スナッチャー/恐怖の街 [DVD]*2』や『SF/ボディ・スナッチャー [DVD]』を見ると感じるところだけど、ここではもう一つひねってある。
「ひろがる」(坂本一馬)。うまい。圧倒的にうまい。
スタンダードなのに新鮮。
名人芸の域。
「わたしのまちのかわいいねこすぽっと」(多岐亡羊)。あえてジャンル分けするならアレだけど、この枚数でアレをやるか。
とはいえアレの中にはもっと枚数が少ない方が面白いだろうなぁと思ってしまったものも多いので、この作品が評価されたのはよいことなのだろう。
あぁ、代名詞ばかり。