過去の日記

2008-10-27 [長年日記]

無限桁の数 再び [etc]

内容的には、

無限桁の数・無限に数字が続く数 p-進数への足がかりとして

の続き。

直接的には一昨日昨日のエントリからの続きになる。

読了前提。


はてなの質問に関して最後に書いておこう。

あのやり方のどこがまずかったかというと、「自然数と実数が一対一対応する」ということを言いたいはずなのに、自然数の集合じゃなくて、「実数と一対一対応できるように完備化した集合」をうっかり間違えて持ち出してきてしまったというところ。

その「実数と一対一対応できるように完備化した集合」について書いたのが、一番最初に挙げたエントリだ。


さて。


一昨日のエントリで、対角線論法に関するはてなの質問に対する逆質問として、

循環小数
0.10101010101010……

0.010101010101010……
に対応する自然数はなんですか?

というようなことを書いた。

昨日のエントリで、

1/3や2/3はいつ現れてくるでしょう?

と書いた。

この2つはちゃんと対応するように選んでいる。
循環小数 0.10101010101010…… は 2/3 の2進数表記で、0.010101010101010…… は 1/3 の2進数表記だ。

1/3 = 0.010101010101010……
2/3 = 0.101010101010101……

である。


はてなの質問にあったやり方でこれを無限桁の数に対応させる。

1/3 = 0.010101010101010…… ←→ ……10101010101010
2/3 = 0.101010101010101…… ←→ ……01010101010101

左が[0,1]区間の実数の世界で、右側が無限桁の数の世界だ。右側にでている数をよく見る。
下の数を2倍した数が、上の数になっている。
2を2進表記すると10だ。どんな進数表記を考えても「基数をかける」というのは表現上「10をかける」ということになり、それはつまり「左にシフトして最右に0を足し加える」という作業で表現できる。

それがここでちゃんと生きている。
ただし、小数点の右と左で折り返しているから関係が逆転しているのだけど。

(a) 1/3 = 0.010101010101010…… ←→ ……10101010101010 (A)
(b) 2/3 = 0.101010101010101…… ←→ ……01010101010101 (B)


左の世界では b = 2a
右の世界では A = 2B


で、なんか面白くなってきたぞ、と思ってその先を考えてみた。


右の世界で A - B を筆算すると、B が現れるのが分かる。
A - B = B
だ。上で書いた。A = 2B とマッチする。

次に B - A を考えてみた。すると、

  ……01010101010101
  ……10101010101010
--------------------
  ……10101010101011  (C)

となる。
この C はなんだろう?
実は私はこの数を目にしている。最初に挙げたエントリの中で書いていたのだ。

1/3、1÷3、3の乗算の逆元。
と、いうことは?


A - B = B
A = 2B
B - A = C (= 1/3 にあたる数)

という形になった。
C が 1/3 にあたる数だとするならば、仮に実数だと思ってこの関係を満たす A と B を出してみると、A が -2/3、B が -1/3になるじゃないか。

1/3 = 0.010101010101010…… ←→ ……10101010101010 ( -2/3 ) (A)
2/3 = 0.101010101010101…… ←→ ……01010101010101 ( -1/3 ) (B)
                                 ……10101010101011 (  1/3 ) (C)

へぇ。と思った。

試しに、B + C を考えると ……0000000 になる。零元だ。
A + B を考えると ……11111111 になる。これ、-1 にあたる数、1 に対する加算の逆元だ。


んじゃぁ、(C)に対応する実数は?
小数点でひっくり返すと、0.110101010101010…… になる。小数点2位以下は 1/3 と同じ形なので、1/2 + 1/3。つまり 5/6。

1/3 = 0.010101010101010…… ←→ ……10101010101010 ( -2/3 ) (A)
2/3 = 0.101010101010101…… ←→ ……01010101010101 ( -1/3 ) (B)
5/6 = 0.110101010101010…… ←→ ……10101010101011 (  1/3 ) (C)

となって、対応関係が曖昧になっちゃった。残念。


というあたりで今回の旅はおしまい。


追記
完備化した後の演算について根本的な間違いをしている気がしてならない今日この頃。

最後に書いておこうとかいっておきながら [hatena]

やっぱりもうちょっとだけ書いておこうかな。

対角線論法が駄目だと思います.無限は無い,あっても一つだと思います.
http://q.hatena.ne.jp/1224941448

の質問のこと。

2番目のコメントの人だけが [0,1] 区間と書いていて、質問者と1番目の回答者は [0,1) 区間と書いている。
ただそれだけの違いに、理解の程度が現れているんじゃなかろうか。などと思っていた。


追記
1月の時には私も [0,1) 区間って書いているなぁ……。