過去の日記

2008-10-26 [長年日記]

実数どころか…… [hatena]

続きでも書きましょうか。

対角線論法のことは忘れて、何をしようとしているかを謙虚に見直すことでどんな間違いをしでかしているかを考えてみましょう。

1.二進法で表した,自然数と区間[0,1)の実数とを考えます.
2.二進法で表した整数を区間[0,1)の有理数に1対1に対応させます.たとえば110101を0.101011といった具合にします.(対称になっているのです)
3.n桁以下の自然数(0も含みます)について,2^n個の自然数があり,それらに2^n個の区間[0,1)の有理数が1対1対応します.
4.log2_n(nの底が2の対数)はnの極限をとると当然無限です.(log2_nが任意の自然数より大きくできるということです.n=2^(N+1)とおけばlog2_nはNより大きいです)
5.以上よりもれなく実数と対応するといえます.
http://q.hatena.ne.jp/1224941448

4.はここでは忘れましょう。
肝心の部分は3.と5.。
このやり方では、「もれなく実数と対応する」どころか「有理数のごくごく一部としか対応しない」のです。


1桁目。
0 → 0.0 → 0 に対応
1 → 0.1 → 1/2 に対応


2桁目
10 → 0.01 → 1/4 に対応
11 → 0.11 → 3/4 に対応


3桁目
100 → 0.001 → 1/8 に対応
110 → 0.011 → 3/8 に対応
101 → 0.101 → 5/8 に対応
111 → 0.111 → 7/8 に対応


ここまでくると分かるはず。最初の0を取り除いて考えるとハッキリする。

  • [0,1]区間を等間隔に2分割する
  • 分割した区間をさらに等間隔に2分割する
  • その繰り返し

をしているにすぎない。

こんなイメージね。


問題。
1/3や2/3はいつ現れてくるでしょう?
答え。
nをどれほど大きくしても現れない。


極限の下につく\(n\rightarrow\infty\) という表記に惑わされちゃ行けない。
n はあくまで自然数の範囲なのだ。
このやり方で自然数と「一対一対応」させられるのは、「実数」どころか「有理数のごく一部の範囲」つまり「[0,1)区間内の分数のうち分母が\(2^n\) の形になっているもの」だけ。


対角線論法のことを忘れて、自然数と一対一対応するのがなんなのか? ということだけ考えるとさっぱりするでしょ。


(次の日のエントリに続くよ)

http://blog.quintia.net/20081027.html