2008-10-17 [長年日記]
■Q.E.D.31 C.M.B.09
一番印象深かったのは「眼の中の悪魔」。ミステリーとは関係ない部分で。
論文データの捏造にまつわるエピソードだった。
ある登場人物の台詞を引用。
そいつは
見たいと
願うものを現実にある
かのように
見せてくれる
最初の行の「そいつ」がすなわち「眼の中の悪魔」を示す。
実はここ数日間、
を何度か読み返していた(特に理由はない)。その中の、
陰陽道はシステムなのさ。数字で計算するのが算術ならば、言葉で計算するのが陰陽術。戦況把握の情報処理に、もっとも不必要なのが希望的観測。個人の感情、早まった思いこみ、主観的判断。それらを排除する思考システム。
の言葉を思い出す。
統計。白書。科学論文の数字。
数字は冷徹に事実を表している、と思っている人も多いかもしれない*1。
でも、違う。
それを書き記したのは人間。
それを読むのも人間。
書き記すとき、読むとき、その眼は現象を、数字を捉えている。
その眼に悪魔が入り込んだとき、その意味を見誤る──。
*1 グラフの波線省略問題が盛り上がっていたとき、「グラフじゃなくて数字を見る」)とコメントしていた人が印象深い。