2006-08-22 [長年日記]
■手塚治虫さんが亡くなった時
なので、いままで宮崎監督のもとで、新人監督がぜんぜん育たず、社外から押井守を入れるという話もあったんですけど、押井さんがひとこと、「やだよ、あんなとこ」と言ったという。
摂津堂テクスト/日記のような、何か - 『ゲド戦記』が宮崎吾朗監督でなければならない理由
声かけるまでもなく、行くわけないじゃん。
さておき。
手塚治虫さんが亡くなった時に、追悼特集のようなもので宮崎駿さんだけが「アニメ作成の値段が不当に安くなったのは手塚治虫さんのせい」という様なことを書いてこきおろしていた。
てなことが書いてあったのは岡田斗司夫氏の本だったような。
後でちょっとパラパラめくっておこう。
宮崎駿氏が亡くなった後で「実はこんな人だった」てな記事が世に溢れるのではないだろうか? と要らぬ心配をしてしまったのは私だけか?
追記
だった。肝心の部分は引用の引用になってしまうので横においといて、p210から引用。
学習院大学卒業後,宮崎駿は東映に入社し、アニメーターとなる。その理由が凄い。
「米帝ディズニーに対抗するアニメを日本で作る」
というのが、青年・宮崎駿の志望動機だった。
このあたりで、すでに人柄が出てきているなぁ、と思った。
■質問自体を無効化する
回答する時に、質問自体を無効化する必要がある場合って、難しい。
Blogの特徴の1つに自ら更新状況を通知する事が出来るというものがありますが、XMLにも同様の特徴があるのでしょうか? BlogもXMLの機能を使ってるんですよね??
http://q.hatena.ne.jp/1156214426
とか。うまい回答が思いつかない(っていう時点で「間違いを指摘するだけの回答はつまらない」という独善が混じっているわけだけど)。
※あなたの質問は「車は走る機能があると聞きました。ガソリンにもそういう機能があるのでしょうか?車はガソリンを使っているんですよね?」という感じ?
という例示は、うまいなぁと思った。ただ、下手をうつとより情況を悪化させるので注意がいるかも。実際自分も「下手をうったなぁ」と思ったことはある。
RGBの画像をCMYKに変換し、色の変化具合をブラウザ上に表示したいのですが、CMYK画像(JPEG)は、そのままではブラウザに表示できないようです。
http://q.hatena.ne.jp/1155092396
なんかも、「CMYKのデータをモニタで確認したい」という要求自体をナンセンスとして無効化したいのだけど、ダラダラと長く書いた割りには成功してないなぁ。
で直観的になったかとは思うけど。
■無断リンク禁止なんてナンセンス! 派を探す
アクセスログを見ていて気がついた。「北九州市教育委員会インターネット運用規定」でYahoo! 検索して結果を眺めていると、先頭の何ページかのうち、教育委員会関連のページ以外はほとんど「無断リンク禁止なんてナンセンス!」派だなぁ。
追記
こっちの方がよいか。
フレーズ検索ならgoogleでもよさそう。
■書誌情報の話
本の流通の要である取次が本のデータベースを作るのはかなり現実的です。実際、取次各社が入力した本のデータを統一的なデータベースにも活用しようという動きが実現の方向で進んでいます。取次であれば町の本屋さんには入荷しないような本も扱いがあるはずです。また、現在入手不可能な本についても、過去のデータが残っていれば情報を利用することは可能です。ですが、取次では扱っていることになっていても出版社の倉庫に1冊も残っていない本はどう表記すればよいのでしょうか。在庫があるのか、ないのか。その本が販売可能な状態なのかそうでないのか。取次は出版社の倉庫の中までは確認できません。ですが、町の小さな本屋さんで本を注文しようと思ったお客さまもオンライン書店で本を注文をしようと思ったお客さまも思うはずです「その本が買えるのか買えないのか、どうしてこの店は教えてくれないのだろうか」。
書誌情報を必要とする全ての方へ:版元ドットコム
日本の書籍流通はいびつだ、とかそういう話はどこにでも転がっているわけで、それとは別の話をしよう。
ある「本」から引用する。
p97
お客の目に見えない機能として、情報と金融があります。情報機能とは、例えば「来月、こんな本が出る」と書店に知らせ、出版社に向けては「いまこういう本が売れている」と知らせる機能。金融機能とは、書店から本の代金を回収して出版社に渡す機能。もし小さな出版社が一つ一つの書店とこの作業をしていたらたちまちパンクしてしまいます。
後者の方は、社員数名とか社長だけなんていう出版社があることを考えると、確かにそうかもしれないと思える。
前者は何を言っているかというと「取次にとっては情報も立派な商品」だということ。これは書誌情報も同じ。
取次は各社毎に本のデータを入力・管理していますが、それらの規格は統一されておらず、しかも有償で提供されています。誰もが気軽に使える状態ではありません。
書誌情報を必要とする全ての方へ:版元ドットコム
と簡単に書かれていて取次の存在、その機能をあまり意識しない人から見ると「なんだそれ!」と思うだろう。でも、書誌情報は取次にとっては自社差別化のための有用な商品だ、と私は思っている。事実、図書心流通センター・日販・トーハン・大阪屋と、主な取次はどこも書誌データを商品として売っている。
これからもそれでいいのか? というとまたそれは別問題だけど、Amazon が ECS で書誌情報を惜しげもなく公開できるのは「Amazon が取次ではない」からなんだろう*1。
大学(の図書館とか)のための文献データベース、論文データベースは古くから公開や交換が行われている。これには書店とは別の背景があって実現可能だったのではないか。
ひとつはそのデータに何らの商品的な価値が(大学側に)無いこと。
もうひとつは、利用者側がどんなデータを必要としているか? にほとんどゆらぎが無いこと。論文ならば論文を書いた人の、論文を発表した時の名前が重要だ。ペンネームがあるわけではないし、参考文献に載せるのには論文を発表した時の名前が判ればいい。
流通書籍の場合、同名異人や同人異名などの考慮が検索性を高めるのに有用だったりする。後者は、中島梓と栗本薫とか、小泉八雲とラフカディオ・ハーンとか。新城十馬と新城カズマみたいに途中での表記変更とかもそうだ。前者は……例えば鈴木博という著者で出ている本がたくさんあるとか、そんな類。
で、そんなデータも「商品」になっているし、それに依る書誌情報との関連付けも引っくるめて取次にとっては差別化を可能にすることになる。
「無料だけど簡素」もしくは「無料だけどデータにゆらぎがある」ものと、「有料だが有用」ものを並べられると書店などはやっぱり後者を選択するんじゃないかなぁ、それに取次との「関係」もあるしなぁ、などと思った。
「無料でデータがかっちりしていて網羅性がある」というのはまだまだ難しいんじゃないかなぁ。「かっちりしたデータ」というのは、フォーマットじゃなくて内容の話。例えば小説で、私はイラストレータの情報なんて入れないだろうけど、入れたい人も多いだろうな、とか。そういうゆらぎが当然でてくるだろう、と想像する。
最後に。引用した「本」はこれ。
「本」というタイトルの本なのだ。
via
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*1 Amazon の書誌情報が別の取次の書誌情報なのか? は判らないのだけど。知っている人がいたら教えてください。