過去の日記

2007-02-05 [長年日記]

ひとりっ子 [novel]

編・訳者あとがきを読んでいて表題作「ひとりっ子」の最後の1行の意味を取り違えていた――というか自分が考えていた以上の意味があることに気がついた。

ひとりっ子 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: グレッグ イーガン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売: 2006-12-01
  • ASIN: 415011594x
  • メディア: 文庫
  • amazon.co.jp詳細へ

全体の印象としては、編・訳者あとがきにある通り、SF に慣れてる人じゃないときついかも。他の2つの短編集から先に読む方がオススメ。

サーバソフトのバージョンを隠せ、だって? [tech]

Webアプリを作ったらセキュリティ屋に脆弱性を指摘された――そんなとき、「入力をサニタイズしていない」なんて言われたことはありませんか?
(略)
そう。必要ありません。「それがセキュリティなのだ」「セキュリティのためには当然」なんてセキュリティ屋に言われたら、その人はもう信用しなくてよいです。

高木浩光@自宅の日記 - WASF Times版「サニタイズ言うな!」

という言い方(表現の仕方)を見て、思い出したことが。


お客様のところ(正確にはお客様のお客様かな?)からトップダウンなのかな? 経緯は知らないけど、どこかの誰かがセキュリティのチェックをしてその結果が回り回ってうちの部署に来たという話。

サーバのバージョンが外から確認できる、っていう項目が"駄目"って来てる

らしく相談を受けた。
で、「そんなことを言うセキュリティ屋はそれだけで信用しなくていい」なんて話をしたのだった。

プロフ [etc]

何かで読んだこと*1があるけど、これはまた深刻な問題――というと曖昧だな。解決するために何をするべきか、何ができるかがすぐには全く想像できないような問題だなぁ。

顔写真(プリ写真)は当たり前、本名だったりあだ名だったり、出身地や生年月日、彼氏・彼女の有無・いる場合はどっちがSでどっちがMかなど(!)、ガンガンに書いてます。


もう一度言います。
それが小学生でも普通になっています。

前略プロフにみるtinycafeさんを凌駕する思考を持つ人たち〓-〓Clear talks 2 oneself - 雑記ネタと戯言と。


コメントに、

絶対事件とかが起こらないと問題に気付かないと思う。

前略プロフにみるtinycafeさんを凌駕する思考を持つ人たち〓-〓Clear talks 2 oneself - 雑記ネタと戯言と。

とあるのは半分ぐらいははその通りだと思った。

無理に否定しなくてもいいかも? [hatena]

ただし、「こうやって一対一対応させていけば余るだろ」という風なのは駄目です。
(略)
0と1との間には無限の数が存在する。(例えば0,1、0,11、0,111、0,1111…と言う風に)
同様に0と2の間にも無限の数が存在する。
無限数と無限数は等しく、0と1の間の数、0と2の間の数はどちらも無限数であり、等しい。
したがって、1=2
http://q.hatena.ne.jp/1170662579

否定する必要はない。
「0」、「1」、「2」、「間」、「無限の」、「数」、「無限数」、「=」。
これら全てを定義し直せば「正しい」。
普通の感覚で捉えるなら「それは『=』の記号の定義ではない」で終わっちゃうんだよなぁ(ただし「無限数」という言葉に対しては定義を与えてやる必要がある。普通は使わないから)。もしくは、「『数』と『数の集合』が区別できていないですね」か。


……それはともかく。
「こうやって一対一対応させていけば余るだろ」ってのは何だろう?
ちゃんと余らずに「一対一対応させる」ことはできるわけだし(y = 2x のグラフを書いて考えるとちゃんと「一対一対応」することが――直感的にだけど――解る)。


「どちらも無限数であり、等しい」は正しくもあり間違いでもあり。「無限数」が定義されてないから細かい議論はこの延長ではできないけど。「0と1の間の数」と「自然数」とでは「どちらも無限に存在するが等しくない」という感じになるし。ここでも「等しい」を定義しないまま使っていることに注意。

「無限の数」は数ではない [hatena]

ではあらためて。

昔ふと思いついた事なんですが、以下の主張を否定し、根拠もつけて説明してください。
ただし、「こうやって一対一対応させていけば余るだろ」という風なのは駄目です。
(略)
0と1との間には無限の数が存在する。(例えば0,1、0,11、0,111、0,1111…と言う風に)
同様に0と2の間にも無限の数が存在する。
無限数と無限数は等しく、0と1の間の数、0と2の間の数はどちらも無限数であり、等しい。
したがって、1=2
http://q.hatena.ne.jp/1170662579

なんでこれを指摘する人が出てこなかったんだろう?
「『数』と『数の集合』を混同しているのが間違い」


まずそれを書いた上で順番に。

0と1との間には無限の数が存在する。(例えば0,1、0,11、0,111、0,1111…と言う風に)
同様に0と2の間にも無限の数が存在する。

ここまではok……のように見えるかもしれないけど実は問題を孕んでいる。それは次で。


無限数と無限数は等しく、0と1の間の数、0と2の間の数はどちらも無限数であり、等しい。

ここでまず引っかかるのが「無限数」という言葉だろう。
けれど、実はそれ以上に問題なのが「間の数」という言葉。「0と1の間の数」、「0と2の間の数」。このどちらも『数』ではなくて『数の集合』である。
それに気がつけば「無限数」を言い換えることができるだろう。
というわけで、一つ前の引用で問題を孕んでいると言ったのも同じ。「0と1との間には無限の数が存在する」は勘違いの元。「無限の数」は数ではない(これがエントリのタイトル)。ここは「0と1との間には無限に数が存在する」か「0と1との間には数が無限に存在する」と書く方がよいのではないか。


これで問題は無くなる。
「0と1の間の『数の集合』」と「0と2の間の『数の集合』」には「一対一対応」が付けられる。
y = 2x の関数、グラフを考えてみるといい。
[0, 1]の閉区間の任意の実数に対して、それを2倍した数が存在して[0, 2]の閉区間を成す。「こうやって一対一対応させていけば余るだろ」は間違いで、一対一対応は付くのである。
無限集合の考え方に慣れていないと、ここで訳がわからなくなるかもしれない。(そういえば「無限の果てに何があるか―現代数学への招待 (知恵の森文庫)(足立 恒雄)」で「有理数から実数への完備化は、有理数から虚数,複素数への完備化よりも難しい」という趣旨のことが書いてあったと思うけど、本当にその通りだよなぁ)
無限集合と有限集合とを隔てる決定的な違いは「無限集合は、真部分集合の中に自身との一対一対応を付けられるものが存在する」ことだと言ってもいい。少なくとも私はそうだと思っている。
自然数の集合と正の偶数の集合。1と2, 2と4,3と6,4と8,……。一対一対応がつけられる。
自然数の集合と整数の集合。1と0,2と-1,3と1,4と-2,5と2,6と-3,7と3……。一対一対応がつけられる。
(ちなみに自然数の(無限)集合と、任意の区間にある実数の(無限)集合の間には一対一対応は付けられない。可算集合非可算集合連続体仮説あたりのキーワードか、対角線論法をWikipediaで引いてみよう。)


ここで今までの分を書き直してみよう。

0と1との間には数が無限に存在する。(例えば0,1、0,11、0,111、0,1111…と言う風に)
同様に0と2の間にも数が無限に存在する。
どちらも無限集合を成し、0と1の間の数の集合、0と2の間の数の集合には一対一対応が付けられる。

とまぁこんな感じ。で、この「一対一対応が付けられる」ことを「濃度が等しい」と普通は呼ぶ。


これで終わり。最初の指摘の通り、『数の集合』と『数』を同一視はできないので、この後に「したがって、1=2」が続くこともないし、また続ける必要は全く無い

産む機械 [memo]

メモです。

柳沢厚労相の元の発言を必ず最後まで読んでからお答えください。
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なかなか今の女性は、一生の間にたくさん子どもを産んでくれない。
人口統計学では、女性は15から50歳が出産する年齢で、その数を勘定するとだいたいわかる。
ほかからは生まれようがない。
産む機械と言ってはなんだが、装置の数が決まったとなると、・・・機械と言っては申し訳ないが・・・機械と言ってごめんなさいね。・・・あとは産む役目の人が1人頭で頑張ってもらうしかない。
1人当たりどのぐらい産んでくれるかという合計特殊出生率が今、日本では1.26。
2055年まで推計したら、くしくも同じ1.26だった。
それを上げなければいけない。
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さて、新聞やTVがこれを「柳沢厚労相が『女性は産む機械』と発言した」と要約していますが

http://q.hatena.ne.jp/1170682019

*1 追記:日経コンピュータでした。