過去の日記

2008-08-21 [長年日記]

クビシメロマンチスト 読了 [novel]

「ふう」
──と言いながら本を閉じた。僕はそれに合わせて尋ねる。
「どうだった?」
「うん。なかなか面白い」
──ほう。
「君にとっての『面白い』の定義は?」
「2度読む価値がある、あるいは、もう一度読んでみようと思えること」
──即答。もっとも、それは今更訊かなくても、幾度となく問うてきたものだ。だったら、
「だったら、『なかなか面白い』の定義は?」
「……読んでいる間は楽しいし、作品としての評価は高いが、『いつかまたもう一度読んでみよう』とは思わなかったもの」
──そして、少し考えているような仕草をする。続きを促すようなことは、もちろんしない。
「あるいは、最初から、作品がそのように読まれることを前提として書かれているもの。あらかじめ『消費されること』が織り込まれている作品」
──消費される物語、というタームは借用だな。別の場所で目にしたことがある。
「その作品は、どうしてそう思った?」
「『史上最強の請負人』。物語の中の状況に一切関わりがないくせに、一通りの謎解きが終わった後に現れて、隠されていたことを洗いざらいにする存在。それゆえに、この本にはもう隠されたことはもうないのだと宣言するための機構の様に錯覚する。ある意味究極の安楽椅子探偵かも。だから、もう一度読もうと感じないのかな」
「それで評価は高いが『なかなか面白い』にとどまるわけか」
「いや、それは違う。『面白い』と『なかなか面白い』の間に優劣はない。どちらもクラスであり、タグ付けでしかない。一次元の『面白さ』なんていう尺度は、ないよ」


クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社文庫)

  • 作者: 西尾 維新
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売: 2008-06-13
  • ASIN: 4062760770
  • メディア: 文庫
  • amazon.co.jp詳細へ


クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子 (講談社文庫)

  • 作者: 西尾 維新
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売: 2008-08-12
  • ASIN: 4062761335
  • メディア: 文庫
  • amazon.co.jp詳細へ

は明日にも届くだろう。そして、また同じ様に思うのだろう。

Treo Pro! [news]

Windows Mobile ですか。そうですか。

Palm Releases Treo Pro | TechCrunch

フリーオ [news]

とんでもない、というより「技術的欠陥」のような気がする。

なお、読者からのタレコミによると、サーバーにカードリーダーを取り付けることで、カードから読み出した情報を共有するという手法は「Card sharing」と呼ばれ、すでに海外では同様のことが広く行われているようです。

ついにあの「フリーオ」がB-CASカード不要に、とんでもない方法を採用 - GIGAZINE

まつのべっ!! THE GIRL CALLS HIM, MATSUNOBE! [comic]

ドラマティック4コマ*1の大傑作だ!!

まつのべっ! 1 (まんがタイムコミックス)

  • 作者: 秋吉 由美子
  • 出版社/メーカー: 芳文社
  • 発売: 2008-01-08
  • ASIN: 4832266047
  • メディア: コミック
  • amazon.co.jp詳細へ

まつのべっ! 2 (まんがタイムコミックス)

  • 作者: 秋吉 由美子
  • 出版社/メーカー: 芳文社
  • 発売: 2008-01-08
  • ASIN: 4832266055
  • メディア: コミック
  • amazon.co.jp詳細へ

めずらしく紹介を書いちゃうぞ。

まつのべは主人公の名字で幼稚園の先生。
園児に先生のことをまつのべと呼び捨てにする子がいる。まつのべが幼稚園時代一緒だった女の子にそっくり。その子と同じ顔、口調、仕草でまつのべと呼び捨てにしてきたり、すごくしっかりしていたしてなかなか叱れない、叱っても効果がない。

で、その幼なじみは今は女優をやっている。それも押しも押されぬ有名女優。
小学生になったとたん引っ越していってしまって、長い間会っていないけれども──あるいはそれだからこそ、まつのべ! と呼ばれる度に彼女のことを思い出してしまって動揺するまつのべ。

ギリギリまで明かされないけど、でも見え見えな関係。まつのべと呼び捨てにするその子の母親こそが、幼なじみの女優なわけだ。


1巻は、そんな幼稚園が舞台。
まつのべの元カノの登場やらがあって、美少年アイドル大好きで1年先輩の先生がまつのべに惹かれていく。
そんな中、まつのべは幼なじみの大女優とばったり出会い、謎のおでん屋で時々会うことになる。

2巻は、幼稚園のシーンはぐっと少なくなって、まつのべと幼なじみと、先輩先生。(女優を目指して養成所に通っている)先輩先生の妹や、おでん屋のおっちゃん、元カノ。
もう、ラブコメらしい──少女漫画らしい? めまぐるしい展開の末に……。


連載から10年目の単行本化。
これは傑作。(少女漫画が苦手な人にはお勧めしないが)
2分冊で一度に発売。
本屋で見かけた僥倖に感謝。

せっかくなので表紙を並べてみよう。
isbn:4832266055 isbn:4832266047

*1 オビに書いてあった。ここでは、漫画の中で回を追ってストーリィが展開している形態の4コマ漫画のことを指して書いている。