2009-01-16 [長年日記]
■Q.E.D.32 C.M.B.10
マジック&マジック
もし最後の2ページが無かったなら、凡作という印象だっただろう。
かなりの人が"読める"ネタだったと思う。
だからこそ、逆に最後の2ページが強く印象に残る。鮮やかだと感じた。
レッド・ファイル
ストーリーよりも、経済に関する基本的な記述の方が面白い。まぁ、この"面白い"というのは"自分の考えに近いことが楽しい"という意味でなので注意がいるかも。
事件の結末、"What happend?"の謎の方は鮮やか(目新しさこそ無いが)。
そしてやっぱり最後の2ページが上手い。
ゲストキャラはMIT数学科、投資プログラマのフライヤ。
可奈「でもいろんな情報を集めていけばちゃんと市場を読めるように……」
フライヤ「絶対にならない*1」
そして、2ページ後から続くフライヤの台詞。
つまり
全く同じ
経済状況の中
「売って特」と判断する人と
「買って特」と判断する人が
同時に存在しないと
いけないの市場を決めるのは
経済状況でも
数式でもない……人の思惑!!
だから
絶対に読めない!!
「市場」と「経済」の似て非なる面を明確に指摘しているなぁ。
にて作者が、
数式や数学者に悪を求める単純さが恐ろしい、とも思いました。(略)金融工学で株価の変動を操ることなんできないし、暴落は投資の本質です。そのことを知ってほしいな、と思いました。
とコメントしている。
短篇4本。
1本は知識として知っていた。
1本は読んでいて普通に分かった。
でもやっぱり落としどころが上手なので、楽しく読める。
■新クロサギ1
仕切り直しということで、最初のネタは振り込め詐欺と身近なところから。クロの使う仕掛けも以前にでてきているオーソドックスなもの。
でも、構成が上手い。
前シリーズを知らない人、ここから初めて読んだ人には「なんかすごい人脈をクロが持っている」様に見えるのだ。
そのように意識して構成している。
で、フィクサーである桂木は最後に出てきて、ごくあっさりとした印象で立っているだけ。
フィクサーは、目立ったり印象的な立ち振る舞いをしちゃいけないよなー。やっぱり。
*1 強調は本来は傍点による。