過去の日記

2009-04-28 [長年日記]

老ヴォールの惑星 [novel]

「漂った男」はSFかしら。

老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))

  • 作者: 小川 一水
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売: 2005-08-09
  • ASIN: 4150308098
  • メディア: 文庫
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「漂った男」の最後の急展開は実に面白い。
作中のいくつかの台詞も、朴訥だが味わいがある、といったたぐいのもので好感が持てる。

作品舞台の中で、主人公側の環境にはまったく変化がない。
変化があるのは常にUフォンの向こう側である。それに応じて主人公側にも変化が起きる。
そのように、ていねいにていねいに畳むようにストーリーを構成している。その手腕はさすがだ。

シチュエーションコメディ的な展開っぽくはある。映像化しようとするとどのようになるか想像してみるといい。
しかし、この作品はシチュエーションコメディの、ある意味で対極ではないかと、そんなことをぼんやりと思った。