過去の日記

2009-04-22 [長年日記]

天涯の砦 [novel]

一気読みしてしまった。
少人数極限状態閉鎖環境もの。
しかも宇宙。

天涯の砦 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 小川 一水
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売: 2009-01-24
  • ASIN: 4150309450
  • メディア: 文庫
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高軌道宇宙ステーションでの大規模な事故。
その衝撃で1つの宇宙船搭乗区画気密が分離し漂流し始める。
そこに事故後の短い時間で大多数が命を落とし、生き残ったのは10名の人間と1匹の犬だけ。
それも、狭い空間内に取り残されたから助かったようなもので、それぞれがバラバラの情況から始まる。
空気ダクトを介しての声だけの連携。
徐々に情況が明らかになる。
活動可能な範囲もそれに応じて広がっていく。
生き残った者の物理的な邂逅。あるいは闘い。


宇宙という舞台描写は細緻を極めている。
舞台となる軌道ステーション(軌 道 複 合 体サテライトコンプレックスと名付けられているが、気にいられてない、という説明あり。いかにもありそう)や月往還船の考証が物語を支えている。
軌道ステーションや、1日1便という頻度の月との定期便。それが十分可能になるだろうな、と想像させる数々の科学技術の描写。
けれどそれはあくまでも舞台に過ぎない。物語は、人物と情況で進行する。あたりまえの話ではあるけれど。