過去の日記

2014-01-09 [長年日記]

モンティ・ホール問題、あるいは3囚人問題の話 [etc]

モンティ・ホール問題、その祖先と子孫

の続き。

問題再掲。
「数学セミナー」連載の「確率パズルの迷宮」、2012年7月号掲載記事「逆確率の罠」から引用で、一般的な3囚人問題に対して曖昧さを無くした形で書かれたもの。

A,B,Cの3人の死刑囚が独房に入れられている.ときの為政者のはからいにより,3人のうち1人は(等確率で無作為に選ばれて)釈放されることになり,残り2人は処刑されることになった.囚人たちもこのことを知らされているが,誰が釈放されるかまでは知らされていない.
処刑の数日前,Aは独房を見回りに来た看守に対して,誰が釈放されるか教えてほしいと頼んだが,拒否された.しかし諦めず,
「だったら,BとCのうち処刑される者の名前を1人だけ教えてくれ.3人のうち2人が処刑されるから,BとCのうち少なくとも1人が処刑されるのは確実だ.それなら,そのうちの1人の名前を聞いたところで俺が処刑されるかどうかとは無関係だから,教えてくれてもいいじゃないか.なぁ,こうしよう.Bが釈放されるならCだといってくれ.Cが釈放されるならBだといってくれ.俺が釈放されるなら,BというかCというかはコインを投げて決めてくれればいい.もちろん,いまコインを投げたら俺が釈放だとわかってしまうから,答えは明日教えてくれればいい.お願いだ.頼む.」
といってまんまと看守を説得した.生真面目な看守は翌日,Aのいった通りのやり方で答えを決め,Cが処刑されることをAに教えてくれた.
看守の誤算だったのは,実はAとBの間では密かに情報を伝達しあう方法ができあがっていて,Aは,上で述べた看守とのやりとりの一部始終をBに教えてしまったことであった.
さて,Cが処刑されるという情報を得て,AもBも,自分が釈放される確率が1/3から1/2に上がったと喜んだ.釈放される確率に関するAとBの結論は正しいであろうか.


求めたいものは \(P(Aが釈放|看守がCと答える)\) と \(P(Bが釈放|看守がCと答える)\) 。

とりあえず前者を考えよう。

ベイズの定理から \(\displaystyle~P(Aが釈放|看守がCと答える)~=~\frac{P(Aが釈放)~\cdot~P(看守がCと答える|Aが釈放)}{P(看守がCと答える)}\) となる。

問題から、\(\displaystyle~P(看守がCと答える|Aが釈放)=\frac{1}{2}\) となる(このへんは曖昧さを無くした形なので明確である)。

また、\(\displaystyle~P(看守がCと答える)=\frac{1}{2}\) である(直感でわかるけど自明じゃない。ちゃんと計算しているけど式は省略)。

\(\displaystyle~P(Aが釈放)\) は当然 \(\displaystyle~\frac{1}{3}\) 。

\(\displaystyle~P(Aが釈放|看守がCと答える)~=~\frac{P(Aが釈放)~\cdot~P(看守がCと答える|Aが釈放)}{P(看守がCと答える)}~=~\frac{\frac{1}{3}~\cdot~\frac{1}{2}}{\frac{1}{2}}~=~\frac{1}{3}\)

同じように、

\(\displaystyle~P(Bが釈放|看守がCと答える)~=~\frac{P(Bが釈放)~\cdot~P(看守がCと答える|Bが釈放)}{P(看守がCと答える)}~=~\frac{\frac{1}{3}~\cdot~1}{\frac{1}{2}}~=~\frac{2}{3}\)


今日雑談で話題に出たもので。