2014-09-05 [長年日記]
■失われた探険家
表題作と「監視」あたりがよかった。あと「天使」は、ジョン・カーペンターの「世界の終わり」(Cigarette Burns)あたりの雰囲気もある……ような。ストーリーは全然違う。
表題作は完全に予想を裏切られた。
このタイトルで舞台がロンドン、ある家の庭、主役は少女。だとは。
そういえば表紙はたしかにそうだなぁ。
庭に突然現れた病身の探検家。
なぜか、だれなのか、は結局語られず。
やがて、彼は死に至り、少女はただ庭に埋葬する。
ストーリーではなくて文章の力で読ませるタイプ。それにしても見事。
「監視」。
主人公——「信頼できない語り手」——が監視していたのははたして誰だったのか? なぜ鍵を気にするのか?
最後の段落で"ああやっぱり"と思わされ、最後の文節で"やられた"と思わされた。