2012-08-23 [長年日記]
■さよなら! 僕らのソニー
こんなニュースが(Twitterで)話題になっている中、
ちょうどこんな本を読んでいた。
p244〜246
ストリンガー氏は、すべてのソニー製品をネットワークに繋ぐことに熱心である。
(略)
私はストリンガー氏に直接、「ネットワークに繋ぐ理由は分かりましたが、ではどこで利益を出すつもりなのですか。それを教えてください」と尋ねた。
ストリンガー氏は少し考えてから、こう答えた。
「それをいま、平井(一夫氏)に考えさせているところだ」
「……」
私は、絶句した。
ビジネスモデルを持たないまま、全てのソニー製品をネットワークに繋ごうとしてきたのか。まさか、ネットワークに繋いでいるうちにビジネスモデルが生まれるとでも思っていないだろうな——もし思っていたとしたら、これは経営者とは言えない。
(略)
しかし「ソフトとハードの融合」を唱えてから十年以上も経つが、その製品もビジネスモデルも生み出すことに成功していない。もうそろそろ「夢」から醒めても。いい頃だと思う。
……まあメーカーこそ違うし、Panasonicの洗濯機は別にネットワークに繋がったりしないけど、なんか同じような感じを受け取った。
p111〜113 (2008年夏)
量販店。値段が高い方のテレビが、なぜか安い方より画質が悪い。
「値段が高いほうは、新機種だからです。安いのは古い機種で製造が打ち切られ、もう在庫でしか残っていないからです」
まさに単純明快な返事である。
在庫処分のため古い機種の価格を下げるのは、小売店としては当たり前のことである。とはいえ、旧型の方が新型のブラビアよりも画質が優れているのはどういうことなのであろうか。改めて問い直すと、彼はこう即答した。
「それは、旧機種にはDRCが搭載されているからです。新機種は(DRCを)積んでいませんから」
ためしに、売り場の担当者に「あなたなら、どちらのブラビアを購入しますか」と聞いてみた。彼は、笑いながらこう答えた。
(略)
「DRCが入った格安のブラビアに決まっているじゃないですか。もう私は、買いましたけど。(新型の)値段が高いわ画質が悪いわでは、買う気も起こりませんよ」
前半、古き良きソニーの話の方が楽しかった。懐古趣味的で自分でもどうかと思うが、後半の濃い内幕的な話はなかなかしんどかった。なにより、読んでいてつらい。