2009-05-11 [長年日記]
■貧困大国アメリカ 豚インフルエンザと健康保険
豚インフルエンザ関連で、ワイドショーのコメンテーターが言っていた。
メキシコでの死者が多いのは、健康保険に加入していない人が風邪だと思って市販薬だけのんで医者にかからなかったために、重症化した例が多いから。
というような説明(正確ではない)。
をちょうど読んでいたので、あぁなるほど、と思った。メキシコとアメリカでは事情が違うかもしれないが、
(p91)
ごく普通の電気会社に技師として勤めていたホセも二〇〇五年に破産宣告をされた一人だ。
「原因は医療費です。二〇〇五年の初めに急性虫垂炎で入院して手術を受けました。たった一日入院しただけなのに郵送されて来た請求書は一万二〇〇〇ドル(一三二万円)。会社の保険ではとてもカバーし切れなくてクレジットで払っていくうちに、妻の出産と重なってあっという間に借金が膨れ上がったんです」
(略)
民間の医療保険に加入してもカバーされる範囲はかなり限定的で、一旦医者にかかると借金漬けになる例が非常に多い。
医療(特に健康保険)が《完全に》利益追求型になっているらしい。
p71
競争の中で高騰する医療費のしわ寄せは患者にかかる。その中で日帰り出産する妊婦が年々増えているのも特徴だ。
(略)
「私の出産は日帰り出産です。入院すると一日大体四〇〇〇ドルから八〇〇〇ドルかかるんでもの。(略)」
……一日50万である。
なんでもかんでも民営化して自由競争の社会にしてはいけない。すくなくとも、絶対にそうしてはいけない領域がある。アメリカはそのようになってきた。アメリカでは「自由競争」が絶対正義の様に思われているふしがある。
というのが本書のもっとも大きな主張であろう。
そのような例がどんどん出てくるのだ。